「マイ会計」会計をもっと身近に。世界は会計でできている[石井友二]

社会人の三種の神器は、会計、IT、英語ですが、このなかで最も重要なのは会計です。会計がいかに日々の生活に入りこんでいるのか、また日々の生活を支援するのか、明らかにしていきます。会計を知り活用すれば人生を謳歌できます。充実した人生を送るための会計についてご紹介していきます。

財務三表と製造原価報告書のフレームワークを復習しましょう

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 貸借対照表損益計算書、そしてキャッシュフロー計算書の財務三表は、密接なつながりがあることは説明しました。

 

 資産=負債+資本の構造をもつ貸借対照表は、他人からの調達(他人資本)と自分の調達(自己資本)により、資産を運用することを表す財務諸表であることを再度覚えましょう。

 

 この公式通りに、左側を資産、右側を負債+資本と確認して下さい。これはルールなので、決まり事です。右手、といわれて左手を出す人はいませんよね。右はこちら、左はこっちと、小さいときから自然に身に着けたのであり、なぜ右なんだ、と考えても埒があきません。

 

 1494年にルカパチョーリが数学書ズムマのなかで、複式簿記(=いわゆる簿記)を考えたと既に説明していますが、そこで、貸借対照表は、資産=負債+資本となるように決まっています。

 

 また、同様に損益計算書も、収益―費用=利益という従来説明してきた公式と、費用+利益=収益という公式があり、これもルールなので覚える必要があります。

 

 損益計算書は、まさに、「一年間に得た収入から支出を控除して残りが利益(経営成績)」という、分かりやすい構造になっていて、こちらのほうが身近だと思います。収益と収入、費用と支出は厳密にいうと意味が異なりますが、ここではスルーして同じとしてよいです。

 

 さて、貸借対照表の資産としての現金(現預金)の期首(一年のスタートの日)から期末日(一年の最期の日)までの動きを営業、投資、財務の3つの源泉に区分して示す表がキャッシュフロー計算書でした。

 

 営業キャッシュで現金が減るのは、商品などの在庫を増やしたためとか、売掛金が増えたため(回収できなかった)ためとか、買掛金を払ったために現金が減ったなどの理由が示されますし、投資キャッシュで現金が減るのは、設備投資をしたからとか、株式投資をしたからということが示されます。

 

 そして財務キャッシュでお金が減ったのは、借入金の元本を返済したから、のようにさらに理由が示され、最初これだけあった現金は、こんな理由により減ったんだな、と分かる枠組みになっているのです。

 

 もちろん、増えるときにも理由があり、営業キャッシュでは増え、投資キャッシュで減り、財務キャッシュで増えるなど、増減の表示がされるようになっています。

 

 で、製造原価報告書は、製造を行っている企業が製品をつくり、販売するときに作成する計算書でした。

 

 損益計算書上で、収益である売上高の費用となる売上原価はいくらかと計算するとき、製品をつくるために工場で使った材料費や加工費、労務費や経費を計算する財務諸表の一部です。

 

 在庫が残れば、貸借対照表に、製品や仕掛品、部品や原材料として掲載し、情報を提供すると説明しています。

 

 ということで、製造業では、財務三表と製造原価報告書は一体となって使われることが分かります(それ以外の業者では製造原価報告書は使いませんので財務三票だけですが、関係は分かっていただけましたか?)。

 

 このブログを何度か読んでみると覚えやすと思いますが、ルカパチョーリさんのところで述べたように覚えなければならないことは、マイ会計で何度も手を変え品を変え理解できるようにしていきますので、安心して下さいね。

 

 なお、マイ会計において簿記の考えは必要ない、というのは偽りのない真実ですが、一つだけ知っておくとハナタカ(鼻が高い)なことがあります。

 

 簿記では、左のことを借方、右のことを貸方といいます。

 「かりかた」「かしかた」に覚え方のヒントがあります。左は借方ですが、「かり」の「り」が左に向いていますよね。なので、借方は左を意味して、同じように右は貸方ですが、「かし」の「し」が右を向いていることで、覚えやすくなります。

 

 私は19歳の大学入学前(一浪です…しくしく)に水道橋の簿記学校に通っていましたが(残念な事に大学が楽しくて、4月半ばで止めちゃいました…)、この話を聞いて、妙に納得して覚えた記憶があります。

 

 英語では借方(debit)、貸方(credit)といいますが、福沢諭吉が訳したそうです。

 

 もともとは、debitはお金を借りる人、creditはお金を貸す人らしいですが、やっぱり意味不明なので、「かり」「かし」で覚えています。

 

 なお、貸借対照表でも、損益計算書でも、左側は借方、右側は貸方なので、例えば、貸借対照表の借方には資産があり、貸方には負債と資本がある、という表現を使います。これ、フェーズを上げていくときに大切なので。やはり覚えておきましょうね。

 

 

 

 ということで、次回は、財務三表と製造原価報告書は実は、家族のような関係だったという話をします。