人が思い通りに生きるためには、
- 目標達成のために計画的に行動する、
- その成果を会計の視点で見る、
- 物事を行う自分を振り返り行動を修正する
ことの理解が必要です。
今回は、会計監査を導入している法人での内部監査室へのレクチャーの資料を確認することによりリアルな組織における内部監査について簡単に学習します。まずは内部監査に触れ、自分の行動をチェックするマイ監査の考え方につなげることが有効です。
「監査手続きは、監査において十分な監査証拠を入手するための手続のことをいいます。 監査では監査対象の財務諸表が適切であることを証明することを目的としているからです。
会計監査を実施する公認会計士にとって、財務諸表に対する意見を形成するうえで、十分な監査証拠が必要となります。監査手続は、内部統制が確立していること(会計処理が適切に行える仕組みがあること)を前提とした上で、試査によって実施されます。
今回、貴法人のプロジェクトで行うことは内部監査の導入です。内部監査の最大の目的は、法人が適法・適切な運営を行うため、またその発展のため最も有効な改善策を助言、勧告し、さらにその実現を支援することです。
もう少し具体的にいうと、内部監査は法人の内部統制制度が正しく機能しているかどうかをチェックし、問題点を発見、問題点を修正して、内部統制の目的である、業務の有効性・効率性、コンプライアンスの担保、そして資産の保全を行いつつ財務の信頼性を確保します。
支援内容には、事業活動の効率を高めるとともに職員の規律保持や士気の高揚を促すことも含まれます。法人内部の抱えるリスクや問題点を早期に発見・解決し、社会的な信頼を損なうことのないよう組織を整備していくことになります。
会計は組織の活動を可視化する道具です。したがって、内部監査の監査手続きを学習するにあたり、まずは、会計監査の手法を学ぶことが有益です。会計のながれに沿って監査を進めると内部告発監査を行い易くなるからです。
貴法人における会計監査の監査手続きは次のものです。
- 記録や文書の閲覧
- 有形固定資産の実査
- 視察
- 質問
- 確認
- 分析的手続き
エビデンスとの突合による科目別監査手続きは主に以下の科目ごとに行います。
なお、資産については必要なものが実際に存在するか(実在性)、負債についてはすべてが計上されているか(網羅性)、そして収益については、得られるべき収益が計上されているか(実現主義)、費用は、その事実があるときに計上されているか(発生主義)をチェックすることになります。
なお、貴法人では我々監査法人が会計監査を実施しているので、会計監査のなかで実務を学習することや業務監査から実施しても良いと思います。
業務監査は経営資源毎に組織目標への合目的的な対応が行えているかについて、例えば以下をチェックします。
- ムダな処理をしていないか
- ムラのある業務分担になっていないか
- ムリな業務になっていないか
- もっとはやくできないか
- もっと安くできないか
- もっとうまくできないか
- 不正が抑止される仕組みがあり、牽制が行われているか
- 不正が起こる温床になっていないか
どうかを考え、リスクや問題点発見し改善を行います。
上記をすべて一度に理解することには困難があります。日々の活動はすべて貸借対照表と損益計算書に反映されることを前提として、法人の収益計上の仕組みを考え、費用がどのように生まれるのかを理解したうえで、会計の体系を知り、できれば簿記を勉強しながら、内部監査を行います。
なお、前述したように内部統制は、事業のすべてにわたり、法人の目標を達成するため、業務の有効性・効率性、コンプライアンス、資産の保全、財務の信頼性を確保することを目的としています。
繰り返しになりますが内部監査は、法人の業績が向上するよう会計監査、業務監査を通じて内部統制の整備・運用について組織支援するものです。
もっといえば、現場の人の困っていることを発見し、それを解決し、結果として法人が最適な状況になるよう行動します。いわば理事長直轄の法人運営のコンサルタントという位置づけです。
それぞれ役割は異なるものの、同じ対象(法人運営)を監査対象としていることから、最終的に内部監査は、会計監査や監事監査と協力しながら、組織目的が達成されるように活動します(三様監査)。
まずは業務フローチャートを完成させ、また、経理規程等を見直ししたうえで、現場がどのような状況にあるのかをチェックしていきましょう」