「マイ会計」会計をもっと身近に。世界は会計でできている[石井友二]

社会人の三種の神器は、会計、IT、英語ですが、このなかで最も重要なのは会計です。会計がいかに日々の生活に入りこんでいるのか、また日々の生活を支援するのか、明らかにしていきます。会計を知り活用すれば人生を謳歌できます。充実した人生を送るための会計についてご紹介していきます。

人の営みと会計の活用


会計とは、経済活動において財産の変動や損益の発生を貨幣単位によって記録・計算・整理し、管理および報告する行為だといわれています。個人も組織もそれぞれのニーズに応じ会計を行います。ここで個人の会計は明確なルールがなく、組織はその形態ごとにルールに基づいて会計が行われることが通常です。会計を記録する方法として単式簿記複式簿記があります。

 

ここで簿記は、「帳簿」に「記録する」ことをいい、財産の増減や損益の発生を、決まった方法で記録・計算・整理する仕組みをいいます。会計の基本的部分を構成しています。簿記には単式簿記複式簿記があります。単式簿記は現金の出納のみを記帳する簿記であり、複式簿記は会計理論から会計処理を行う簿記ということがいえます。

 

例えば、家族で外食をしたときに、飲食費6,000円と記帳するのが単式簿記で、クライアントと懇親のため昼食をしたときに、会議費6,000円/現金預金6,000円と記帳するものが複式簿記です。複式簿記での記帳は仕訳といいます。会計処理は税法や会計基準等により異なります。昼食をつけ払いで行ったときには、複式簿記では会議費6,000円/未払金6,000円となりますが、単式簿記ではこの取引は記録しないことが一般的で、未払金を支払ったときに記帳するといった相違があります。組織においては複式簿記しか使いませんので、会議費6,000円/未払金6,000円という仕訳を行います。複式簿記においては、左側を借方、右側を貸方と呼んでいます。ここでは(借方)会議費6,000円(貸方)未払金6,000円というように説明します。

 

会計では、費用の増加は借方、減少は貸方、債務の増加は貸方、債務の減少は借方とルールがあり、この仕訳が成立します。少し深くなりましたが、興味がある方は貸借対照表損益計算書の意味や目的、作成ルールを学習すると簡単に理解できるのでトライしてみて下さい。なお、貸借対照表には、資産[運用]=負債(他人資本)+資本<含む当期利益>(自己資本)[調達]といったルールや損益計算書には、収益―費用=当期利益というルールがあります。

 

さて、本論に戻ります。

 

代表的な組織である会社において会計は報告のための会計である財務会計と管理のための会計である管理会計があります。細かくいうと管理会計のなかには特殊原価調査のように継続的に行わない投資経済計算を行う等の目的により採用する会計もあります。ここで個人においても財務会計管理会計をモディファイ(部分的に改造)することにより利用することにより、自分の行動を管理することができます。これはマイ会計と名付けていますが、自分の行動を可視化し行動を計画したり修正したり評価することに役立つと考えています。

 

自分の資産形成の目安するために、単式簿記により、正確ではないにしても簡素な(何ちゃって)自分の貸借対照表(期末日における財政状態)や損益計算表(一年間の経営成績)を作成してみます。

 

会計を職業としている人は、習慣的に自分ごとに対しても頭のなかで感覚的に仕訳がみえたり、貸借対照表の構成や損益計算書ができあがり自分の財政状態や経営成績を把握することがあると思いますが、そうではない人も簡単に自分の行動を可視化するために財務会計管理会計を使えるようになるとより明確に自分が見えるようになると考えています。

 

また、KGI(重要目標達成指標)→KFS(重要成功要因)→PD(成果達成尺度)→KPI(重要業績評価指標)管理を行うことも必要です。

 

さらに、何かを購入するときに購入によって得られる効用を定量化し購入すべきかどうかを判断するときに活用することができます。

 

興味がある方は正味現在価値(NPV)を調べて下さい。NPVは「正味現在価値=現在価値-投資額」で算出します。現在価値とは、将来獲得する資金の現時点における価値のことで「現在価値=将来受け取る資金÷(1+利率・割引率)のN乗」で算出しますが、一定のルールを決めて将来受け取る資金を自分が投資により得られる効用に置き換えてみると面白いと思います。まだ整理できていないので具体的なやり方は研究課題ではあります。

 

  • 自分の債務はいくらあるのか、資産はいくらあるのかを把握し理論的ではないにしても簡単な貸借対照表を作成する。その場合差額を資本とする。また収益はいくらで費用はいくらかを計算し差額を当期利益とする。
  • さらに、自分の目標を決め、目標達成のためにはどのような成功要因があるのか、その成功要因を行動にするとどのような行動があるのか、そしてその行動はどのような指標により管理していけばよいのかといったことを考える。
  • また投資を行うときには、投資(金融資産や不動産への投資はそれ自体での利回りが投資意思決定の材料として存在するので除外)から得られる効用(もしあれば金銭的なメリット)を集計し見合った投資なのかを計算し投資を行う

といった具合です。

 

さて、ここで目標達成行動のための、KGI(重要目標達成指標)→KFS(重要成功要因)→PD(成果達成尺度)→KPI(重要業績評価指標)について一つ事例を紹介します。

 

誰もが何げなく近いことを行っていると思いますが、例えば資格試験に合格する目標をもったとき、成功要因は効率的な学習、仲間づくり、通勤時間の短縮、十分な睡眠確保とします。

 

達成尺度としてはYouTubeの活用、合格者からの指導、受験者の確保、早起きによる早朝出勤、心地よい疲労のための運動時間の確保といったことがリスト化されます。

 

KPIは日々の学習時間、合格者からの指導時間、仲間の人数、睡眠時間、通勤時間、運動時間を管理することになります。KPIは先行指標(目標指標)を決め、実績指標(実績)と比較し、ギャップを埋めるために何をすればよいのかを検討し具体的に行動してKPIの改善を図っていくといったことです。

 

もちろん、これらは自分の仕事に応用すればまさに本来のKPI管理を行うことになります。会社でKPI管理をしている方は自分への応用は容易ですね。

 

こうして書き終えてみると取り立てて文章にする必要はなかった感じですが、自分でも上記がうまくできていないことが分かりました。先ずは自分の行動を会計により可視化し、やりたいことができるよう、さらに精進していきたいと考えています。