「マイ会計」会計をもっと身近に。世界は会計でできている[石井友二]

社会人の三種の神器は、会計、IT、英語ですが、このなかで最も重要なのは会計です。会計がいかに日々の生活に入りこんでいるのか、また日々の生活を支援するのか、明らかにしていきます。会計を知り活用すれば人生を謳歌できます。充実した人生を送るための会計についてご紹介していきます。

貸借対照表と損益計算書、そしてキャッシュフロー計算書について

 

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会計の3つのフレームワークについての説明です。

 

 少しとっつきにくいかもしれませんが、徐々に慣れてきますので、いきなり理解できないでも大丈夫です。始めましょう。

 

 企業は事業を行った結果を、株主や債権者、監督官庁等、企業の関係者、影響を受ける者である利害関係者に、財務諸表を以て報告しなければなりません。

 

 グーグル(Google)、アップル(Apple)、アマゾン(Amazon)、フェイスブックFacebook)、アリババ(Alibaba)(なぜかGAAFA)でも、任天堂でもソニーでも、バンダイナムコでも、スクウェア・エニックスでも、セガサミー(なぜかゲーム会社)でもイオンでも、ヤマザキパンでも皆同じです。

 

 財務諸表は、企業が一年間の経営成績や、期末日現在の財政状態、お金の流れを明らかにする等のために複式簿記に基いて作成された書類をいいます。

 

 一年間の経営成績を表す書類を損益計算書、期末日現在の財政状態を表す書類を貸借対照表、そしてお金の流れを明らかにする書類をキャッシュフロー計算書といいます。

 

このように、財務諸表には3つあり、それぞれ役割があることを知ってくださいね。

 

 前提ですが、一年間頑張ってどれだけの売り上げを上げて利益を出したかが、企業の成績なんですね。

 

  株主は利益が出れば株価も高くなる可能性も高いし、配当金をもらえる額も多くなるからです。銀行も利益が出ていない所とは付き合ってくれません。お金を貸しても返してもらえませんから。

 

 なので、一年間の経営成績を表す損益計算書は大事です。

 

 また、今回は詳しく話しませんが、どんな事業をして、どんなマネジメントをしているのかを知るには資産がいくらあって、負債はどんな感じ、資本はどうかな等、財政状態を見るとその事業が一発でわかるようになっています。なので貸借対照表必要です。

 

 で、お金は嘘をつきません。なので、お金の流れを皆が見たいんですね。キャッシュフロー計算書は結構役に立ちます。

 

 さて、なぜ一年間なの?の話です。企業の決算は一年間なので、経営成績は一年間で評価されます。

 

 昔は、航海に出た船が帰ってきてはじめて決算をしたという時代があり、一航海一会計でした。何年かかるかわかりませんよね。

 

 明確には東インド会社が成立された後、しばらく経過して会計期間が一年間に人為的に設定されたといわれています。

 

 はっきり、いつからか公認会計士の私も知りません。調べてみますね。

 

 なお、東インド会社のうち、アジア貿易を目的に1600年に設立され、アジア貿易の独占権を認められて、アジア各地の植民地経営や交易を行ったイギリス東インド会社1602年に設立されたオランダ東インド会社が有名です。

 

 さて、話しを元に戻します。

 経営成績は例えば4月1日から始まれば、翌年の3月31日の一年間の収益―費用=利益で表現されます。1月1日から12月31日の会社もありますね。

 

 収益―費用=利益は、家計と同じなので、分かりやすいですね。

 

 お父さんが給料を貰い(収益)、ローンの金利を払い、食費、水道光熱費、教育費、(家族の)遊興費、(お父さんの)お小遣い、図書費、被服費等を使って(費用)、差額が利益になり、貯金が増えて、でもローンの元本をそこから返済という感じです。

 

 これ毎月繰り返して一年間どうだったかの家計簿を付ければ、ほぼ企業の損益計算書と同じです。

 

 実際に損益計算書では、売上高―売上原価=売上総利益―販売費及び一般管理費=営業利益―営業外損益=経常利益―特別損益=税引き前損益―法人税住民税等=当期利益といった表示がされます。

 

 少し難しいですが、まずは一年間の利益がどのように得られたのかを順を追って表現しています。

 

 パン屋さんでみてみましょう。

 

 パンが売上高、売上原価は簡単に言えば、小麦粉やパン焼き機のコスト、パンをつくる人の人件費や工場の家賃です(お店とあったあの場合には面積比で按分します)。

 

 売上高―売上原価のあと表示する利益の名称を売上総利益といっています。

「粗利がいくらある」、と一般的にはいうものです。

 

 そこからお店の水道光熱費や家賃、什器のコストや役員、販売員や事務員の人件費、広告費、電話代や町会費など、販売や管理のための費用を控除して表示する利益が営業利益です。

 

 ここまでが本業の損益ですね。なぜ損益といっているのかというと、赤字もあるからです。営業損失といいます。

 

 次に営業外収益と営業外費用、これは財務損益といい、銀行に預金しているときの受取利息や釣り銭を間違えて現金が多かったときの雑収入(レアケースですね。で、後でお客さんに返したら雑損失で処理します)が営業外有益、借入の支払利息は営業外費用となります。

 

 特別損益は特別損失が事例としては、臨時巨額の損失、例えばパン焼き機を入替えて、廃棄したときの損といったものが例外的に該当します。

 

 損益計算書は、こんなルールにより(もちろん一ヶ月単位で作成もしますが)一年間の経営成績を表現する枠組みなんですね。

 

 たったこれだけですが、初めて知る人には少し荷が重いかもしれません。

 

 これからこのブログを読んでもらえれば、マイ会計を使いながら徐々に自分のものにしていけると思います。ゆっくりいきましょう。

 

 そのうえで、一年経過した期末の日すなわち3月31日における、資産と負債、資本の関係を財政状態といい、その状態を資産=負債+資本で示すものが既述した貸借対照表です。

 

 考え方は、自分や誰かから出資をしてもらい(資本)、また借入をして資金を得て、資産を取得して事業を始め、一年経過した最後の日に、それがどうなっているのかを表しています。

 

 負債+資本は調達であり、資産は運用です。この形や意味は大事です。おいおい詳細を説明します。

 

 ただ、せっかくなので同じくパン屋さんでみてみましょう。

 山崎さんは、自分で出資もし、友達からもお金を集め、さらに銀行から借入をして、資金調達をしました。

 

 その資金を以て、お店を借りて保証金を払い、パン焼き機及び什器、預金(運転資金)で事業をはじめました(運用)、といったイメージです。次回以降も説明をしていきます。

 

で、残りは、現金のながれです。

 

 企業は売上を上げても代金は後でもらうことが多いです。いわゆる掛売です。もちろん、何かを売るときに仕入をするので、仕入れも現金をすぐ払うのではなく、掛けで買います。

 

 また在庫をもつ仕事では、結果、お金を払って在庫をもつので資金が必要ですね。なので、収益を上げて費用を払って利益がでても、利益の分だけ現金があるわけではありません。

 

 売掛金を回収できないと、利益が出ていても、支払いができずに倒産することがあります。これを黒字倒産といいます。

 

 なので、キャッシュフロー計算書では、現金のながれすなわち、利益を上げて現金があるはずだけど、売ったお金を回収できないので、いくら現金がない、とか、在庫が増え、現金化できていないので、いくら現金がない、とか、掛け買いのお金を払っていないので、現金がいくらまだ残っている、などの営業活動でキャッシュがどう動き、キャッシュがどのくらい残っているのか(営業キャッシュフロー)を示します。

 

 また、投資をしていくら現金がない、とか投資が回収できていくら現金が残っているという投資の状況を示すキャシュフロー(投資キャッシュフローといいます)、そしていくら借りて現金があるとか、いくら返済して現金がない、といったキャッシュフロー(財務キャッシュフローです)の3つのキャシュフローを表し、貸借対照表に残っている現預金の残高が期首から増減した理由を表現することになります。

 

 今回は、財務三表について簡単に説明し、3つの会計のフレームワークを解説しました。

 

 少し物足りない感じですが、次回は少し復習もしながら、財務三表の整理をして次に進むようにします。