「マイ会計」会計をもっと身近に。世界は会計でできている[石井友二]

社会人の三種の神器は、会計、IT、英語ですが、このなかで最も重要なのは会計です。会計がいかに日々の生活に入りこんでいるのか、また日々の生活を支援するのか、明らかにしていきます。会計を知り活用すれば人生を謳歌できます。充実した人生を送るための会計についてご紹介していきます。

マイ会計は、こうして役立つ

 このブログのタイトルは、「マイ会計」世界は会計でできている。会計をもっと身近に、です。

 

 「マイ会計」では説明に、会計の13の黄金のフレームワークを使います。

 

 ブログを始めから見てもらった読者は、すでにこの13のフレームワークの説明を読み終わっているはずです。会計の13の黄金フレームワークは次のものでした。

 

1.貸借対照表

2.損益計算書

3.キャッシュフロー計算書

4.製造原価報告書

5.月次決算

6.予算実績管理(指標管理含む)

7.財務分析

8.損益分岐点分析

9.FCFとEBITDA

10.事業計画書

11.資金繰り表

12.中期経営計画書

13.投資経済性計算

 私が公認会計士として監査法人や銀行、そして会計事務所で仕事をしてきて分かったことは、世の中の会計は、この13のフレームワークでほとんど解決が付くということです。

 

 もちろん、工場では原価計算制度が使われており、その内容を突き詰めていくと複雑なところはあります。

 

 また、建設業会計は特別な処理をしますし、商社に行けば、輸出入取引の会計には様々なものがあります。

 

 システム開発を行うIT企業においても、工場と似た会計が使われることが多く、理解には工夫がいるかもしれません。

 

 この他、業種の特性からして、会計はそこで起こった出来事で会計処理をしなければならない対象、会計事象を捉え、その出来事が分かりやすいように会計処理を行います。

 

 なので、都度業界の特性や起こっていることを理解し、会計に反映させているという事実を汲み取りながら、その業界で起こっている出来事を知る必要はあります。

 

 しかし、それらの考える基礎はすべて、このブログで書いてきた13のフレームワークを知っていれば理解も深まるし、業界の特性や出来事を想像して、行なわれる会計を理解することは容易です。

 

 まず、13のフレームワークを覚えれば、業界毎に異なる会計の理解ができると考えています。

 

 なので、次に進めるテッパン(確実なこと)の会計のフレームワークとして13を黄金のフレームワークと言っているのです。

 

 13という数字は、欧米では忌み嫌われている数字(忌み数)ですが、とても特別です。

 

 例えばトランプの各スート(マーク)はハート、ダイヤ、スペード、クローバーですが、各13枚ずつあります。また、麻雀の手牌枚数も13枚だったりします。

 

 とても、この2つの事例だけでは証明できませんが、物事の本質を意味する数字なのではないかと密かに思っています。

 

 何れにしても、これら会計の13のフレームワークは、ルカパチオーリが15世紀に複式簿記を発明し、オランダの東インド会社が会計を正式に取り入れたなど(かなり雑な言い方でした)の、歴史をもってつくられてきたものです。

 

 エビデンスはないものの、前述のように数十年にわたる私の経験では、まずはこの13のフレームワークを「絶対的な」基礎として、これさえ理解してさえいれば、他の会計のフレームワークも理解しやすいという考えで13を設定していることをお伝えします。

 

 13のフレームワークで理解した会計の考え方を以て、辺りを見渡してみると、いろいろなことが分って来ます(これからもご紹介していきますね)。

 

 このブログでは、会計の基礎知識を得たうえで、さらに、会計のフレームワークを使いながら自分の考え方や行動、生活も会計の対象として眺めてみると、いろいろなことが分ったり、自分の行動をコントロールできるとしています。

 

 それが、マイ会計の考え方です。

 

 マイ会計では、マイ会計を知った人が会計のフレームワークを通して、より成長することを目的としているので、会計というツールを使いながら、自己啓発の領域にまで踏み込み13の会計のフレームワークを語ってきたという意識もあります。

 

 厳しい時代を生きるにあたり、合理的で生産的な生き方をするために、会計のフレームワークを使うことができれば、会計も身近になり、理解も進みます。

 

 ここに、マイ会計は、ファーストステージでは、例え簿記がわからなくても、

1.会計の13の黄金のフレームワークを学習して会計のベースをつくる

2.自分の考え方や行動、生活も会計の対処とし自分をコントロールするツールとする

ことを目指しています。

 

 経験を積み重ねれば、会計の知識は最低限に抑えながら、会計のフレームワークと自分との間を行き来している間に会計の理解を深め、マイ会計を自分をコントロールするツールとして使い、成功体験を積むことができます。

 

 さらに、セカンドステージでは、マイ会計は、簡単な簿記の知識を提供します。

3.ファーストステージで慣れた人がより13のフレームワークの知識を深くする

ことや、

4.会計に興味をもった人はより深く会計を学ぶ機会とする

ことを期待しています。

 

 人は、喜怒哀楽を感じつつ、どこかで達成感を得ながら、人としての自分をつくり上げるために人生を送ると考えています。

 とすると、不合理なことやムダなこともたくさん抱えているのが当たり前です。

 

 しかし、人は、会計に限らずどこかに合理的に生きる、生産的な生き方をするための道具をもっていて、バランスをとっているのも事実です。

 

 マイ会計も、人がうまく生きるための道具の一つの仲間入りができればよいですね。

 

 私は「思いをもち、信念に変え、技術を身に着けながら、人間力を高め、コミュニケーションをとりつつ、やりたいことを達成し満足を得ること」を成功と定義しています(拙著:サクセスキューブ[幻冬舎])。

 

 多くの方が、前向きな達成感を得る日々を送っていると思いますが、そのときに、そのプロセスで意思決定や、状況モニタリングを行うために「マイ会計」を使ってもらえると良いと思います。

 

 ということで、「マイ会計」(自分がうまく生きるときに使える会計)を自分のものとすることに興味がある方は、当ブログをぜひとも利用して下さいね。

 

 13の会計の考え方、ルールを簡単に学習し、それらの意味をうっすらと知りながら、新しい視座を身につけ、自分が生きていくときの道標の一つにしてもらえるよう、これからもたくさん記事を書きますので、よろしくお願いします。

後悔しない設備投資の方法

 

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 会計監査やコンサルティング、会計業務で多くの企業を見てきた経験から、投資をしてうまくいかなかった企業がどれだけあるのかと驚きます。

 

 投資意思決定を行うとき、本当の意味での投資経済性計算を行っていない結果です。

 

 私も、過去を振り返ると、考え方を熟知しているのに、投資に前向きになる余り、プロセスを割愛してしまっていたことが大半で、この記事を書きながら、とても反省をしています。

 

 ということで、購入のメリット、リースやローンでの対応、レンタルの採用。そして他の機器で代替した場合などを検討したのち、投資や設備投資を行うときには、それらによるメリットが得られらかどうかを検討しなければなりません。

 

 投資したキャッシュよりも、キャッシュが増加するメリットがあるから投資する、ということが正解です。

 

 収益が増加するけれども費用が大きく利益がでないしキャッシュも残らないのでは、意味がありません。管理会計の重要論点である投資経済性計算が今回のテーマです。

 

 さて、100の設備投資をして、8年間で200の収益があがる。減価償却費以外の経費がその期間で80だとするとします。

 

 税引き後利益は、200-(100+80)180=20×(1-0.33[実行税率])(注)=13.4です。

 

(注)法人所得税の場合、事業税の損金算入を考慮して法人税、住民税および事業税の所得に対する税率を合計した実質的な所得税負担率。中小法人の数字。

 

 減価償却費が100ですから、これはキャッシュアウトしていない費用なので、キャッシュを計算するときには、13.4+100とします。得られるキャッシュは113.4。

 

 なので借入金を8年で返済しても113.4-100=13.4のキャッシュが残るので、この投資は意味のあることが分かりました。

 

 損益計算書でみると、売上高―売上原価=売上総利益―販売費及び一般管理費=営業利益±営業外損益=経常利益±特別損益=税引き前当期利益―法人税住民税等=(税引き後)当期利益になります。

 

 上記の計算により、200-180=20の税引き前利益6.6の税金を払い手残りの現金(預金)は13.4となります。細かいことを除けばこの式に当てはめると分かりやすいですよね。

 

 繰り返しになりますが、減価償却費分は機械を費用化した金額で、購入時に支払って終わり。その都度現金を使っていない費用なので、現金が出て行っていないとして、その額を税引き後利益に足します。

 

 現金残高は113.4となり、100の借入金を返しても13.4の現金が残るという結果です。

 

 (設備)投資経済性計算には、回収期間法と、投下資本利益率法や内部利益率法、正味現在価値法があります。

 

 回収期間法は融資により投資した資金が何年で回収できるかを、そして投資資本利益率法その他は、投資の収益性と現金の時間価値を考慮するものです。

 

 今回は、回収期間法と正味現在価値法を紹介します。

 

 回収期間法は、回収期間(年数)=設備投資額÷年間キャッシュフロー増加額(税引き後利益償却前利益)という式で計算されます。

 

 投資は何年で回収すればよいのかを考えます。

 

上記の例でいえば、

100÷(113.4÷8=14.175)=7.05年となり、8年目で充分に回収できます。法定耐用年数を8年で計算しているので、ぎりぎり良いということになります。

 

 一般的に設備資金はもう少し長めの期間で返済しますが、その期間内で返済できるという前提がなければ投資できないと考えて、返済期間も耐用年数期間で返済するとして、上記の計算になっています。

 

 正味現在価値法は以下のようになります。

 

 現在価値(PVPresent Value)=これから受け取る現金÷(1-金利×n)です。nは年数です。

 

正味現在価値(NPVNet Present Value))=Σ(総和)現在価値PV―投資額となります。

 

計算した正味現在価値がプラスであれば、投資は有利であり、マイナスであれば不利とする方法です。

 

先ほどのケースでいうと、例えば毎年14.175をキャッシュで8年間得るとしていましたが、銀行でもし金利2%で運用できるとすると、1年後の14.175の現在の価値は、14.175÷(1+0.02)=13.897となります。

 

 今13.897を1年間運用すると1年後に14.175になるので、現在価値は13.897となるんですね。

 

 では2年目の現在価値は、同様に14.175÷(1+0.02×2)ですので、13.6298となります。13.6298×1.02×1.02=14.175になります。

 

 となると、8年間、毎年得られる14.175を現在価値に割り戻した、8年間の合計は104.2214になります。これがPVの合計額です。

 

 正味現在価値(NPV)は、104.2214-100=4.2214です。

 

 なので、有利という結果になります。

 将来投資により得られるキャッシュを現在価値に置きなおしてその合計が投資する金額より多きければ投資ということになります。

 

 複数案ある場合には、いくつかの投資を比較しNPVが一番大きいものを投資対象とするという使い方をします。

 

 なお、今は銀行に預金しても運用利回りはなく、割引率は成立しないほど小さいので、割引をしない回収期間法でも、判断はできそうですね。

 

 詳しくいうとこの割引率は資本コストといっていますが、自己資本コストと他人資本コストの加重平均をして加重平均資本コストWACCWeighted Average Cost of Capital)を使います。

 

 WACCとは、会社の資金調達に伴う費用をいい、銀行への利子、社債権者への利回り、株主への配当などをいいます。

 

 ここでは、簡単に銀行の金利をつかいましたが、きちっと計算するときにはWACCを使います。複雑なので今は無視して良いと思います。

 

 書き終わってみて自分でも難しいな、と思います。

 

 ここで学習することは、

(1)投資をするときには、投資により得られるキャッシュの合計を出し、

 

(2)得られるキャッシュが多ければ投資をする

 

(3)しかし、回収期間が重要で、少なくとも減価償却期間以内に回収したい

 

(4)また、投資から得られるキャッシュの現在価値をみる方法もある

 

(5)得られる現在価値の合計が投資を超えれば投資は良い

といったことです。

 

 得られるキャッシュの計算方法や、キャッシュを現在価値に割引く方法を書きましたが、深く学習したい方は、もう少し他の資料もチェックすると良いでしょう。

 

 マイ会計で考えること。投資をするときには、本当に得られる価値が投資額を超えるのかを考えてみる必要があります。

 

 不動産は言うに及ばず、自動車や欲しい物への投資から得られる価値が、投資額を超えるのか、何年で回収できるのか、他に運用したほうが全体的な価値につながるか、といったことを検証して、納得してから投資を行うことを推奨します。

 

 なお、ここで価値や効用はマイ会計なのでら非金銭的な心の価値や効用も含むと考えて良いです。

 自分の価値観が大きく影響します。

 

 ただ、借入金で投資をする場合は、給与や賞与が将来どのように推移するのかを推測し、ムリの無いように投資することと、前述した投資判断を行う基準を自分で設定し、慎重にさまざまな代替案を比較しながら、決定していかなければなりません。

 

 また、途中で予想通りの金銭的、非金銭的な価値、効用が得られないのであれば、投資を引き上げたり、処分する。

 

 さらに、給与や賞与が下がったり、興味がなくなるなど、当初想定した環境や条件が変更されたときに、投資活動を修正していくことが必要ですね。

 

 自分のお金を使う、銀行から借りて使う、というときに投資は意味があるのか、について一回収期間法や正味現在価値法を思い出してください。リースや中古の選択肢も入れると、判断は更に多様になりますね。企業でも同じ検討を行うことがあります。

 

 という事で、設備投資の経済性計算を知っていると、自分が投資するときのバックボーンになりますよ。

 

  マイ会計、黄金の13会計フレームワークの説明をこれで一通り終わります。  

  

 もちろん、これからなぜ黄金の13なのかの説明や、個々のフレームワークの見直しをしていくことにします。

 

 これけら、再度世の中を見渡し、会計の意味を知る旅に出かけましょう。

 

3年間の目標、中期経営計画を立てよう

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 3年から5年間で何を行うのかを明確にした計画を中期経営計画といいます。通常3年を中期とする計画が多いので、ここでは3年計画を中期経営計画とします。

 

 意識の高い、明確なビジョンと戦略をもつ企業は、中期経営計画を立案しています。

 

 何かを成し遂げようとしても、1年ではできないことが数多くあるからです。

 

 なので、3年以内には必ずここに到達する。そのためには1年目には××、2年目には××、3年目には××を行うといった計画を立てることが一般的です。

 

 3年あれば多くのことができる。だから3年の間に何を成し遂げるのかを徹底して議論し、計画化し、実行することが組織勝ち残りのポイントです。

 

 中期経営計画は、予想損益計算書の形で作成し、貸借対照表の計画はつくらないことが多いです。

 

 中期経営計画を立案するためには、ミッションを明確にします。そこから何をすべきかのビジョン、そしてビジョンを到達点としたときの、現状分析を行います。

 

 到達点と現状との乖離を発見し、乖離を埋めるために何をすべきかの解決策=内外戦略を立てます。解決策を検討し、3年の計画を立案します。

 

なお、先に現状分析をしておかなければ、到達点をどこにするのかの根拠が曖昧になります。

 

少なくとも、現状保有する経営資源について、何が強く(Strengths)、何が弱く(Weaknesses)、そして事業を推進するときに考慮する機会(Opportunities)や脅威(Threats)を分析していきます。

 

これをSWOT分析といいます。強みや弱みは、内部の経営資源を、機会や脅威は環境を対象とします。 

SWOT分析はマネジメント領域の話ですが、どこかで説明しますね。

 

内外環境を分析し、上記を行ったのち、ミッションやビジョンとの乖離が見えてきます。そのうえで上記で説明したプロセスに入ります。

 

 さて、3年間かければ、たいていのことは成し遂げられると考えて、中期経営計画を立案するときには、

(1)既存事業を維持するための計画

 

(2)既存事業拡大のための計画

 

(3)新規事業のための計画

 

の3つを意識する必要があると、私は考えています。

 

 順番を間違えてもだめですし、一つでも欠けてはダメです。

 

 これらを意識して計画していかなければなりません。

 

 現事業を阻害する多くの障害をどのように排除するのか、また拡大を阻害する壁は何かを考えます。

 

 さらに、既存市場だけではなく新市場、異なるドメイン(事業領域)の新規事業についても議論します。慎重な判断が求められ、簡単には結論が出ないこともありますが、ワクワクしますね。

 

 もちろん、この3年は内部体制をかためるために、維持だけ、という戦略もあるでしょう。

 

 でも、維持するだけというのは困難です。攻めなければ力をつけた競合が次々に出てくるので、維持はできない。

 

 現場を維持するためには常に前進し、始めて現状を維持出来る。留まれば押されて維持できないと私は考えています。

  

なお、中期経営計画の初年度から計画通りに行動できなかったり、劇的な環境変化が起こり初年度から大きく実効性が棄損することがあります。

 

1年目に計画を達成できないと2何目のスタートで大きな負荷を負ってスタートしなければなりません。

 

3年目にはさらに計画と実績の差が開くと言ったことが起こってしまうのです。残念ながら実務ではこなパターンが多いですね。

 

したがって1年経過後に見直しを行い、修正を加えることがあります。これをローリングといいます。

 

 1年経過したらまた3年分、再度1年経過したらまた3年分、のように常に中期経営計画が連続的につくられることは、前向きな事業拡大を行うときには有効です。

 

 ただ、これでは当初の中期経営計画よりも小さなものになる傾向があるし、そもそも3年で未来をくぎり、3年で何かを成し遂げようという方向での中期経営計画を使えなくなります。

 

 (なお、学者の中には中期経営計画の3年は10年先を見ての3年の計画にする必要があり、10年先を見ていない企業が多いので日本をダメにしている、という意見があります。中期経営計画の前に10年後の世界や日本をどうしていくのかを考えろ、と言うことですが現場にいるとすごいスピードで行われるイノベーションをすべて予測するのは困難だと思います。

 

 都度数年先を観ながら柔軟に対応することの方が現実的ですね。ただ思いを持ち、10年の間に絶対にこんな世界をつくるという信念を持って行動することには意味があると思います)。

 

 すなわち毎年の環境変化を考慮して計画を見直し,必要な改訂を行なう方法は、いったん計画した中期経営計画を変更するので、前述のように計画達成の実効性は高まりますが,ここまで必ず達成しようという努力目標としての役割は果たせなくなる、といわれています。

 

 確かに、当初決めた3年間は維持し、手段や方法のみのローリングを行うことのほうが、けじめがつくと私は考えます。

 

何れにしても、当初立案した中期経営経計画を固定的に考えると、ケースによっては毎年の乖離が大きくなることや達成感を得られません。

 

1年目にできなかったから2年目に多めに目標を乗せて走るといったことは、戒められる必要があります。

 

 計画は絶対に達成する意気込みをもと、行動するとともに、環境変化で当初の計画が達成できない、予想できなかった出来事があったとしても踏みとどまり、何とか毎年計画を見直し実効性があがるように対応することが良いですね。

 

 毎年の見直し時に当初計画した中期経営計画を意識した計画とし、大きな到達点は変えず、行動計画や内容の見直しを図るという見直しにしておけば、当初の中期経営計画の機能は低下しません。

 

 本来は決めたことを毎年着実に実行し、ローリングをせず、3年計画を予定通り達成するということが最も優れた方法ですが、少なくとも毎年見直しを行い、計画を修正しながら、初期の中期経営計画を実現可能な中期経営計画として活用するために、毎年ローリングを行うと良いですね。

 

  ということで、解決策や目標の組み合わせや戦略変更しながらも、当初の中期経営計画を念頭においての行動を行えるよう、中期経営計画のローリングを行うことが可能だし有効です。

 

 さて、くどくど書きましたが、事業計画書の記事で書いたように、中期経営計画の1年分は年度経営計画(事業計画)に落とし込まれます。

 

 戦略が事業計画書に落とし込まれ、PDCAサイクルに乗せて管理されます。

 

 PDCAはPlan(計画)Do(実行) Check(評価)Act(修正)の4 段階を繰り返しながら計画を達成していく考え方です。

 

 戦略が決定され事業計画書に落とされ、具体的なレベルで行動が計画され、一定の管理のなかでで実行されていく。行なわれるべきマネジメントの基本です。

 

 組織における予算実績管理の仕組みに乗せられ、毎月の検証を行いながら、PDCAサイクルを毎月回すという活動が行われることになります。

 

 マイ会計でいえば、個人も3年の計画を立てるべきです。

 

 学生は卒業までに何をすると決めて、スポーツにしても学業にしても、目標が決められる環境にいます。というか将来を決めなければならないというプレッシャーのなかで、決めざるを得ないことがあります。

 

 社会人になると、仕事からの要請はあるとしても、主体的に活動するためには、自分で何か目標を決めなければなりません。

 

 決めなくても、今を頑張ることで近未来を何とかやり過ごすことはできますが、時間はどんどん過ぎていきます。維持は後退と考えれば、3年後から今を考え行動すると、より良い成果を得られると思います。

 

「○○さんは、何をしたいんですか?○○さんの中期経営計画(略して中計)はどんな感じですか?」みたいな話があっても良いですよね。

 

 当初決めたことを、なかなか達成できないのであれば、ローリングを行い中計を毎年作り直す、というのでも良いと思います。

 

 どこかで踏みとどまって、3年後にこうなると決めた目標を、毎年ローリングはしながら維持しようと行動すれば、思いに近いところに着地できるかもしれません。

 

 マイ中計をつくりはじめ、行動を開始することが大切なのかもしれません。

 

 中期経営計画→事業計画→利益計画+行動計画(Action plan これが一番大切です。Action planだけの記事書きますね)→目標管理→PDCAを個人でも行えるようになることがマイ会計の望みです。

 

 中期経営計画の簡単な意味や作り方、運用の方法を説明しましたが、分かりましたか。

 

 また、どこかで中期経営計画について触れますので、この記事は押さえておいてくださいね。

 

 次回は投資経済計算について、説明します。

 

 

 

 

資金繰りって、どんなこと?

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 「資金繰り」はよく使われる言葉です。お金のやりくりの事ですね。

 

 個人では「お金がないんで今月苦しいよ」というときに、企業で経営者は「今月資金繰りが苦しい」というだけのことで、個人の現金があるかないかと、企業で現金があるかないかは同じです。  

 

 資金繰り表は、企業のお金のやりくりを行う表です。

 

 もう少し丁寧にいうと、資金繰り表は、定めた区分や勘定科目に基づき、毎月のすべての現金(預金)収入と現金(預金)支出を集計して、現金収支の動きをみる表、です。

 

 現金が貯まるケースも、現金が不足するケースもあり、現金過不足の現状を把握することを目的として作成します。

 

 会社によれば、資金繰り表を毎日作成し、資金不足となる状況を予測しながら、不足する時期までにどのように手当するのかを考えて行動する、という活動が行われています。

 

 資金不足にならないように、売上を伸ばし、回収を促進する。また、経費の支出を無くしたり、遅らせたり、支払いのサイトを伸ばすこと、銀行から借入を行う等(様々な取り組みがあり、ここでは書ききれません)といった対応をとります。

 

 資金繰り表の構成は、現金預金について前月繰越残高±経常収支±財務収支=次月繰越残高となります。

 

 経常収入は当月収入―当月支出です。  

 

 当月収入には、簡単にいえば、現金売上+売掛金回収+前受金入金+その他の入金、経常支出は現金仕入+買掛金支払+前払金支払+人件費支出+未払金支払+その他の支出が該当します。

 

 現金の入出金を見るとき、上記の式で見ると分かりやすいんですね。入金ですが、現金で売り上げれば現金が入るし、売掛金を入金すれば現金が増えますね。

 

 前受金は先に現金を入金することですが現金が増えることには変わりありません。その他何らかの理由で現金をもらえば現金収入になります。

 

 出金は反対の事です。現金で仕入れれば現金は出ていくし…と考えてみてください。

 

 財務収支は、財務収入―財務支出です。借入をすれば現金は増えるし、借入金の返済をすれば現金は減りますよね。

 

 また、投資をして現金を支払えば現金が減る、という管理を行います。営業活動ではなく、財務活動の分は区分して計算する仕組みになっています。

 

 経常収支で資金不足のときに、財務収入で資金を確保するよう、経営を行うんですね。

 

 お金を借りて投資をして月末現金残高が減るということも場合によればありますが、一番は、経常収支でいつもプラス。

 

 財務支出しても月末現金残高が増えるといった状態がときにはベストです。

 

 ただ、キャッシュをため込むことが経営ではないので、この辺は戦略によりますね。

 

 まだ、簿記の学習をしていない方に分りやすく再度の説明をしますね。

 

 現金で売上れば、対価として現金が入るし、現金で仕入れをすれば現金が出ていく。また掛売でうったものが回収できれば現金が入るし、掛けで買ったものについても支払い日がくれば現金で支払う。

 

 また、先にお金渡しておくね、と前受けでお金をもらったり、先に払って欲しいといわれお金を払ったり、給与を払ったり(給与も現金で払われますよね)、経費の未払いを払ったりのようなことで上記が成立しています。

 

 財務収支は上記に記載した通りです。

 

 結局資金繰り表は、損益ではなく、現金(預金)の動きがどうか、現金の残高はいくらなのかを計算するシートなんです。

 

 キャッシュフロー計算書でも同じようなことが行われ、営業上で増減するキャッシュは、営業キャッシュフロー、投資をしたり回収したりは、投資キャッシュフロー、そして財務的な借入や返済は財務キャッシュフローとして表示します。

 

 ただ、資金繰り表は日々の動きをみるのに適していますが、キャッシュフロー計算書は全体を少なくとも月次の貸借対照表の比較により、現金増減の要因分析を各勘定科目の差引で計算しています。

 

 簡単にいえば、売掛金残高を月末―月初でみて差額がプラスであれば、売掛金が回収できていないので、現金は減少したとか、買掛金残高を月末―月初で見た時に、残高が増えていれば、支払いをしていない分現金が増加した、といったように見ていきます。

 

 同じ現金を扱うにしても、資金繰り表とキャッシュフロー計算書では、少し考え方が異なりますね。

 

 マイ会計で資金繰り表はつくれますね。

 

 文字通り給与が手取りでいくらはいる。家賃や光熱費の支払いがいくら、残りはいくらと分かります。

 

 個人では減価償却費のような経費になるけど現金支出がなく、利益はでていないけど現金は減っていない、といった損益計算書と現金の動きの違いがなく、すべて現金(預金)で計算ができるので楽です。

 

 家計簿をつけている方は分かりますが、家計簿そのものが資金繰り表といっても過言ではありません。

 

 「損益は意見であり、現金は事実である」という言葉があります。これとても大事で覚えてくださいね。

 

 会計の世界は、企業の実態をできるだけ忠実に表そうという意図はあるものの、会計処理は複数あり、現金の動きと合致しないので、やっかいです。

 

 何回も出てくる事例ですが、掛けで売上が上がって利益が出ても、売掛金が回収できなければ、現金は入ってきません。

 

 また、掛け仕入れをして費用がかかり、損が出ても、買掛金を支払わなければ現金は出ていきません。

 

 利益が出ても現金はないし、損が出ても現金はある、のようなことがあり、損益と現金は同じ動きをしない時もあることが分かります。

 

 なので、損益計算書だけ見ていても現金の動きは分からず、貸借対照表と併せキャッシュフロー計算書により、大きな月次のながれをみる必要があります。

 

 そして、日々の現金(預金)の動きをみるためには、資金繰り表が不可欠ということでした。

 

 結局事業は、いくら利益が出ていても、お金がないと事業継続できないことを今回も知る必要があります。

 

 黒字父さん、いや、黒字倒産は売り上げが上がっているのに売掛金が回収できずに起こります。企業も個人も、現金大事ですね。

 

 これからは節約や物をなるべく持たないで事業をしたり、生活しなければならない時代がしばらく続くので、留意が必要です。

 

1.現金の動きを資金繰り表でつかむこと、

2.キャッシュフロー計算書との相違を理解すること、3.そして改めて損益だけではなく、現金の日々の動きをみるために資金繰り表をつくらなければならない

こと、

4.おまけとして、現金は大切なこと

を学習しました。

 

 次回は、中期経営計画について考えてみます。

 

事業計画と不思議の国のアリスが犯した罪

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 不思議の国のアリスをご存知ですか?

 

 ブロンドヘアーの少女が白うさぎを必死で追いかけているうちに、トンネルに入り、そして穴に落ちてしまいました。そのあと、身体を小さくしたアリスは見たこともない世界のなかに入っていき、不思議な出来事に出会います…、という物語ですよね。

 

 ここで、我々がマネジメントを語るときに取り上げなければならないのは、どの様なことでしょう。

 

 歴史の本を読んでいて退屈なとき、チョッキを着て走る懐中時計をもった白うさぎを見つけても、決して追いかけてはいけません。危ないからね。冷静に判断しましょう、ということでも、

 

全体を俯瞰して、これは夢だ、現実から逃避してはならないと判断できるようにしましょう、なぜなら現実はアリスの世界よりもっと不思議で楽しい時空なのだから、ということでもありません。

 

 アリスは、不思議の国のなかで道に迷ったとき、木の上にいた見たこともないシマシマのチェシャ猫に道尋ねます。

 

 チェシャ猫がにやにやしながら「で、君はいったいどこに行きたいの」と聞いたとき、アリスが「どこでもいいの…」と言ったこと、に注目したいと思います。

 

 私は、アリスと同じどこに行けば良いのか分からない組織が、とても多いことに気付いているからです(アリスの言動は、組織マネジメントを考えると、とても危険なことですね)。

 

 日々懸命に働き、頑張っていても、社員はこの組織がいったいどこに向かっているのかを知らない、分からないのでは、彼らが力を発揮できる筈がありません。

 

 場合によれば、幹部すら、そしてトップでも、今に懸命で、これからどこに向かい何をすれば望む未来に到達できると考えていない、考えられないことすらあります。

 

 予算や希望の売上高や利益は提示するものの、それらが明確な内外戦略に裏付けられたものではなく、各部署、個人の行動計画に落とし込まれていないときには、具体性がないという意味で、どこに行きたいのかが示しきれていないことと同じです。

 

 「どこに行く」という意思決定は、事業計画により具体的な数値や指標、そして役割や目標に落とし込まれなければなりません。

 

 行動が管理され、毎月その達成状況が検証されて、乖離があればそれを埋める連続的な活動に結び付けられていなければ、実効性が担保されません。

 

 何よりも社員に受容され、彼らが能動的に行動できる組織と個人のコミットメント(約束)の仕組みが必要です。

 

 まずは、皆さんの組織が、不思議の国のアリスになっていないかを一度確認してみる必要があります。

 

 前置きが長くなりましたが(書き出しを考えていたら長くなってしまいました)、今回は事業計画書について説明します。

 

 事業計画書は、利益計画(予想損益計算書)をベースにした行動計画(アクションプラン)です。この一年間はこんなことをします。こんなことをして目標利益を獲得します、という到達点とプロセスを示す書類です。

 

 本来、実務では長期5年間、中期3年間と定めて事業計画が立案されます。

 

 戦略(戦いに勝つための計画)を実現しようと思うと、少なくとも3年程度は必要ということで、3年計画すなわち中期経営計画を立案することが一般的です。

 

「中期の見通しが立たない。先のことは誰にも分からない」ので、単年度での事業計画だけで経営を行う」という考え方では、時間を必要とする業務改革や構造改革を行えません。

 

 仮にトップに思い描くものがあったとしても、現場の職員はそれを具体的に知らずに日々の目の前の仕事だけを追い続けることになります。

 

 将来の姿をみせて今の仕事をするのと、手元しか照らされていない状況で仕事をするのでは成果が大きく異なります。

 

 中期経営計画が必要です(中期経営計画の詳細については、別途説明します)。

 

 そして年度の事業計画です。中期経営計画の1年分が、当期の事業計画として年次の計画へ落とし込まれます。

 

 年度でしっかりと成果をあげるのは当然のことですが、改革を行うためには、中期経営計画をしっかり立案し、その一部としての単年度の事業を計画的に実行しなければならないのは前述の通りです。

 

 事業計画は年度の計画ですから、5W2H(どこで、なぜ、誰が、いつ、何を、どのように、いくらで)の視点での具体的なアクションプランと一体となり活用されなければなりません。

 

 各部署の役割や具体的な達成方法が明確にならない、単なる利益計画に堕さないよう意識をする必要があります。

 

 各部署の役割が達成され年度の事業計画をクリヤー。そして中期経営計画を達成するというながれをつくります。

 

 利益計画は文字通り、いくらの売上高を上げ、費用を吸収して営業利益、経常利益はいくら必要という計画です。

 

 スペシャリスト採用、システム導入投資をしたい、借入金の返済はしなければならない、だから来期は、これだけの税引き後利益が必要と、損益分岐点分析を行いながら、短期利益計画を立案します。

 

 実務はもっと複雑ですが簡素化して説明します。

 

 売上をこれだけ欲しいとなると、客数や販売量を増やすのか、単価を上げるのか、業種によればリピート率はどの程度にするのか、変動費率をどう管理するのか、固定費はどう抑制もしくは圧縮するのかを考えなければなりません。

 

 そのために、組織固め、教育が必要。新規事業立ち上げ、M&A、アライアンスも考えよう、といった具合です。

 

 目標管理を導入し、各部署の役割を明確にしながら、毎月の予実管理を行い、計画を達成する流れが生まれます。

 

 計画を立て、実行し、修正を加えながら行動する、PDCAサイクルを事業計画から始めなくてはならないことを理解しましょう。

 

 無くても一定の仕事はできますが、有ればより高い成果を挙げられる事業計画が必要です。

 

 ここで、マイ会計で考えます。

 いつも同じトーンになるかもしれませんが、計画性のない毎日からは成果が得づらいのは分かりますよね。

 

 やはり、紙に書いて自分がいつまでにどうなる、

そのためには、こうした行動をとる、と5W2Hで整理しておくことが有益です。

 

 頭で思っているだけだと、決めたことができなくても、証拠が残りませんが、いつまでに何をする、ということが明確であれば、自分をコントロールしやすくなりますし、できないときには凹みます。凹む事は次に進む起爆剤になりますよね。

 

 なので、私も有言不実行のほうですが、紙に書いておくと(印刷しておくと)、やっぱりやらなければという気持ちになります。

 

 事実、今もTVドラマの誘惑に勝ち机に向かってこの記事を書いていますが、数ヶ月前の自分であれば「今日忙しかったしなー」のような言い訳をしていて寛いでいたと思います。

 

 少なくとも、今月はこれをやろうと決めたら計画書を作成し、一年間は難しいので、毎月見直しして月次計画に私はしています)、PDCAサイクルを回しながら行動することが大切ですよね。

 

 もちろん、個人ですから、どのような行動ができたら売上達成、どれだけの労力をかけたのかの時間やコストを費用として捉え、成果を定量化して利益とすれば、マイ会計の利益計画もできます。

 

 少し、こじつけのような気もしますが、予想損益計算書フレームワークを使い、自分の行動を見直す、シンプルな考え方です。

 

 これ以上考えると寝れなくなるので、今日はこの辺にしておきます。

 

 事業計画=利益計画+行動計画(目標管理への展開)を忘れないでくださいね。

 

 次回は、中期経営計画をお話しする前に、資金繰り表について説明します。

 

 

 

 

 

100均の不思議

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 このブログは、会計をもっと身近に、世界は会計でできているというタイトルです。今までいくつか記事を書いてきましたが、ちょっと振り返りをしたいと思います。

   

    「世の中の経済活動は、すべて会計により動いている。しかし、大方はその仕組みをよく知らないままに、生活していて、もしかすると、そのことで社会の動きを見逃していることがある」

 

「だから、簿記を習得する必要はないものの、簡単な会計のフレームワーク(枠組み)を知り、かつ自分の生活に当てはめて会計を捉え、社会をもっと知ったり、社会人としてより成果を挙げるツールとして会計を使っていきましょう」という趣旨で、ブログを書いています。

 

例えば、100円ショップはなぜ100円で商品を売れるのか、大量に仕入れているから、ということなのですが、100円なのに高粗利(売上総利益)をとれている100円ショップは、いくら安くても100円未満であの商品を売る卸しやメーカーはどうなのよ、ということです。

 

もちろん、いわゆるバッタ(投げ売りを意味する古道具商の隠語)品を売るということもあったかもしれませんが、それでは継続的な取引はできずビジネスになりません。仕組みをしっかり作っていると考えます。

 

ある100円ショップは自社工場ではなく、80%の商品をOEM([original equipment manufacturer]は、他社ブランドの製品を製造すること)でつくっています。余計に粗利がとれる。

 

それにしても、なぜそんなに安く、という疑問が湧きませんか? このブログで学習した損益分岐点を知っていればわかります。

 

工場は、固定費が一定のなかで生産を行っているので、つくってもつくらなくても、固定費はかかります。

 

なので、限界利益をどう増やすのかを考えています。100円ショップのためにつくる商品はOEM先と言っても専門の工場ではありません。

 

他の商品も製造している。となると売上高―変動費限界利益の考え方からすれば、限界利益が出ていれば、工場のキャパシティ(生産能力に余裕)がある限り、利益を得ることができます。

 

 であれば、変動費である材料費が売上高よりも小さければ、商品、厳密にいえば工場では製品ですが、理論的には限界利益がでるので生産をすることになります。

 

 工場の繁忙差を狙い、工程に余裕があるなら、多少のスペック(仕様=ここでは質に近い)を落としても、受注できれば嬉しい、なので買う方も、売る方もウィンウィンになると考えています。

 

 このことは「なんで100均は安く売れるのか」という記事のなかには書いてありません。

 

 お金に困った中小が安く売る、現金だから嬉しい、大量仕入れである、中間マージンがない、海外から仕入れるなどと書かれていますが、実際は上記に書いたことも、利益がでる一つの大きな理由になっていると思います。

 

 もちろん、売上総利益の下の販売費及び一般管理費も安い。それは値札をつけない(古い言い方で、スーパーや量販でも値札をつけているところはほとんどありませんが)、管理が容易ということがあります。

 

 確かに店舗での品出し(売場に商品を陳列すること)や受発注はシステム化され人手がかからないし、レジでも数さえ数えれば値段は、原則同じなので、楽かもですね。

 

 安い上代(売上)でも、更に安い下代(仕入)で取引をして、販管費を低く抑えれば営業利益は出る、というモデルなんですね。

 

 で、実は海外にも100円均一のショップはたくさんあります。

 

 私も、ホーチミンから少し離れた、ビンズン省に向かう街道沿いにあるイオンのなかにあるダイソーの値段が40,000ドン均一(日本円で2020年7月19日のレートで184.61円)だったことを思い出します。

 

 日本から輸出するにあたり、物流費がかかるし(ベトナムでつくれば安いですね)、ベトナムのイオンの家賃は高いと聞いたこともあります。

 

 粗利も多めにとらなければ成立しないという理解です。

 

 もちろん、海外で日本ほど売れなくても、粗利が大きければ一定の粗利額をとることができるので、利益がでる水準に粗利を設定しているのだとも思います。

 なので、日本よりは粗利は大きい、上代も高いことも理解できます。

 

 なお、閑散期の飛行機旅行が安い理由もどうせ飛ばすなら空いている席を埋める。その基準は売上高−変動費限界利益の考え方です。

 

 居酒屋の昼食が安くできるのもそれだし、新幹線もの考え方を取り入れて席を安く売り出す試みをしていましたね。

 

 ということで、役に立つかどうか分かりませんが、会計が身近に感じられる人も、いると思います。

 

 というか、簡単な会計を知っていれば、視点が変り、社会の動きが見えてくることは間違いありません。

 

 さて、今回の記事が復習になったかどうか心配ですが、私が提示する、会計の13の黄金フレームワークを繰り返し学習すれば、社会の様々なことが見えてくる事は間違いありません。

 

 マイ会計はまだまだ続きます。

 

 次は事業計画書について説明します。

 

 

 

知っておくとハナタカ。企業評価のポイント

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 今日は、財務分析のなかで企業を評価するときに使われるフリーキャッシュフローFCFFree Cash Flow)と、イビットダ―(実務ではイビッダーといっています
EBITDAEarnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization)について説明します。

 

 それほど、難しくないので、チェックしてみてくださいね。

 

 フリーキャッシュフローにはさまざまな算出方法がありますが、ここでは議論を簡単にするためにフリーキャッシュフロー= 営業キャッシュフロー - 投資キャッ

シュフローという方法で検討します。

 

 キャッシュフロー計算書の学習をしましたが、営業キャッシュフロー±投資キャッシュフロー±財務キャシュフローがその月や年に残った、あるいは減った現預金の額になっていた筈です。

 

 貸借対照表は期末日の財政状態を表し、資産=負債+資本でできていました。期首にあった現預金残高は昨年の年度末に残った現預金残高ですが、それは同時に期首の貸借対照表に移行し、今期に事業を始めるときの原資になって、ここから一年始めますよ、という意味をもっています。

 これ結構大事なので、頭に入れておきましょうね。

 

 そのときの期首の現預金残高±現預金の増減=期末の現預金残高として、キャッシュフロー計算書は、貸借対照表の期首と期末をつなぐ役割を果たしているんですね。

 

 そのなかのフリーキャッシュフローです。これは、フリーキャッシュフローがプラスなら、使えるお金がまだあるし、マイナスなら使えるお金がない、ということを示しています。

 

 自由に使えるフリーキャッシュフローがあれば、会社は残りの金額を借入金の返済や自社株の買い取り、配当、そして、次の事業拡大や新規投資に資金を使えます。

 

 そのため、フリーキャッシュフローが多い会社ほど、経営に余裕がある、よい経営状況であるということが判断できます。

 

 企業は売上も利益も必要ですが、実際はキャシュをどれだけ、稼ぐ会社なのか、残し次の収益拡大のためや、株価上昇のために使えるのかを皆がみているのです。財務分析の視点に、フリーキャッシュフローをみる、ということが大事なんですね。

 

さて、次にEBITDAです。

 

 EBITDAEarnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization)は、金利支払い前、税金支払い前、有形無形固定資産の減価償却費控除前の利益を表しています。

 

 簡単に説明すると「営業利益+減価償却費」となります。

 

 P/Lの営業利益に減価償却費を加算して求めます。営業利益に非キャッシュ費用である減価償却費を足し戻して求めることから、簡便的な営業キャッシュ・フローと捉えることができます。

 

 しかし、これには罠があります。この利益は会計処理により異なるので、利益があるからといってキャッシュがあるとは限りません。

 

 利益がでているのは、架空売上かもしれないし、架空在庫を増やして原価を小さくしているかもわからないからです。

 

 運転資本の増減によるキャッシュの影響、例えば売掛金が回収できずキャッシュがないこともありますよね。

 

 マイ会計でいえば、給料100万円もらい、使わないお金がたくさんあって、貯金も毎月20万円しているよ。すごいでしょうといっても、実は友達から借りた借金がたくさんあって返していなかったり、光熱費の支払いが滞っていたり、実は給与も前借をし続けていて、来年からは80万円になるかもしれないなど、いろいろな背景があるケースがあります。

 

 現状の利益(貯金)だけみても判断できません。

 

 企業と個人では会計処理が異なり利益の概念が相違するので、イコールではありませんが、やはり営業キャッシュフローを稼げているのか、投資キャッシュフローを控除したらどうなのか、また財務キャッシュの返済はどうかといったキャッシュフロー全体をみないと、事実がつかめません。

 

利益や減価償却の額で現預金や企業業績を推定するのは危険と考えているのです。もちろん、税金や利息を考慮しないのも問題です。

 

したがって、EBITDAだけで、当該企業の現預金を生み出す力と判断するのは早計です。というか、危険ですね。よく使われるのですが、私は注意して使います。

 

とういことでフリーキャッシュフローEBITDAは企業評価やMAのときの基準になったりしますが、EBITDAをみるだけではなく、フリーキャッシュフローもみて総合的に判断する必要があるという、記事でした。

 

少し雑駁(ざっぱく=雑)ですが、フリーキャッシュフローEBITDAという言葉があり、内容はこんなだったと、薄っすら覚えておけば、また次に何回もお話しするので、良いと思います。

 

最後に、わかりづらい減価償却費について説明しますね。減価償却費は費用として収益から控除されます。しかし、他の多くの費用のように現金支出はありません。会計的な費用です。

 

というのも、例えば企業のもつ有形固定資産、例えば建物や機械、備品、車両ですが(これは文字通りのものなのでイメージできると思います)、これらは購入したときに代金を支払います。なので現預金の支出は自己資金でも、借入でも購入時に完了しています。

 

国が決めた耐用年数というもので、費用化しようというルールになっています。なので、減価し償却費耐用年数表には、鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄筋コンクリート造りのものとして、事務所用又は美術館用及び下記以外のもの50年とあります。

 

100で取得したものであれば、年間の減価償却費は2、という計算になります。利益=現預金と考えているので、費用が引かれた後の利益に費用だったけど現預金は使っていない減価償却費を戻し、本当は利益は2多かった筈、ということで利益+減価償却費になっているのです。

 

 減価償却費、分かりましたか?また、どこかで説明しますね。

 

ということで、夜中になってしまったので、もう寝ます。次回は過去の復習を少ししてみたいと思います。おやすみなさい。