「マイ会計」会計をもっと身近に。世界は会計でできている[石井友二]

社会人の三種の神器は、会計、IT、英語ですが、このなかで最も重要なのは会計です。会計がいかに日々の生活に入りこんでいるのか、また日々の生活を支援するのか、明らかにしていきます。会計を知り活用すれば人生を謳歌できます。充実した人生を送るための会計についてご紹介していきます。

人の営みと会計の活用


会計とは、経済活動において財産の変動や損益の発生を貨幣単位によって記録・計算・整理し、管理および報告する行為だといわれています。個人も組織もそれぞれのニーズに応じ会計を行います。ここで個人の会計は明確なルールがなく、組織はその形態ごとにルールに基づいて会計が行われることが通常です。会計を記録する方法として単式簿記複式簿記があります。

 

ここで簿記は、「帳簿」に「記録する」ことをいい、財産の増減や損益の発生を、決まった方法で記録・計算・整理する仕組みをいいます。会計の基本的部分を構成しています。簿記には単式簿記複式簿記があります。単式簿記は現金の出納のみを記帳する簿記であり、複式簿記は会計理論から会計処理を行う簿記ということがいえます。

 

例えば、家族で外食をしたときに、飲食費6,000円と記帳するのが単式簿記で、クライアントと懇親のため昼食をしたときに、会議費6,000円/現金預金6,000円と記帳するものが複式簿記です。複式簿記での記帳は仕訳といいます。会計処理は税法や会計基準等により異なります。昼食をつけ払いで行ったときには、複式簿記では会議費6,000円/未払金6,000円となりますが、単式簿記ではこの取引は記録しないことが一般的で、未払金を支払ったときに記帳するといった相違があります。組織においては複式簿記しか使いませんので、会議費6,000円/未払金6,000円という仕訳を行います。複式簿記においては、左側を借方、右側を貸方と呼んでいます。ここでは(借方)会議費6,000円(貸方)未払金6,000円というように説明します。

 

会計では、費用の増加は借方、減少は貸方、債務の増加は貸方、債務の減少は借方とルールがあり、この仕訳が成立します。少し深くなりましたが、興味がある方は貸借対照表損益計算書の意味や目的、作成ルールを学習すると簡単に理解できるのでトライしてみて下さい。なお、貸借対照表には、資産[運用]=負債(他人資本)+資本<含む当期利益>(自己資本)[調達]といったルールや損益計算書には、収益―費用=当期利益というルールがあります。

 

さて、本論に戻ります。

 

代表的な組織である会社において会計は報告のための会計である財務会計と管理のための会計である管理会計があります。細かくいうと管理会計のなかには特殊原価調査のように継続的に行わない投資経済計算を行う等の目的により採用する会計もあります。ここで個人においても財務会計管理会計をモディファイ(部分的に改造)することにより利用することにより、自分の行動を管理することができます。これはマイ会計と名付けていますが、自分の行動を可視化し行動を計画したり修正したり評価することに役立つと考えています。

 

自分の資産形成の目安するために、単式簿記により、正確ではないにしても簡素な(何ちゃって)自分の貸借対照表(期末日における財政状態)や損益計算表(一年間の経営成績)を作成してみます。

 

会計を職業としている人は、習慣的に自分ごとに対しても頭のなかで感覚的に仕訳がみえたり、貸借対照表の構成や損益計算書ができあがり自分の財政状態や経営成績を把握することがあると思いますが、そうではない人も簡単に自分の行動を可視化するために財務会計管理会計を使えるようになるとより明確に自分が見えるようになると考えています。

 

また、KGI(重要目標達成指標)→KFS(重要成功要因)→PD(成果達成尺度)→KPI(重要業績評価指標)管理を行うことも必要です。

 

さらに、何かを購入するときに購入によって得られる効用を定量化し購入すべきかどうかを判断するときに活用することができます。

 

興味がある方は正味現在価値(NPV)を調べて下さい。NPVは「正味現在価値=現在価値-投資額」で算出します。現在価値とは、将来獲得する資金の現時点における価値のことで「現在価値=将来受け取る資金÷(1+利率・割引率)のN乗」で算出しますが、一定のルールを決めて将来受け取る資金を自分が投資により得られる効用に置き換えてみると面白いと思います。まだ整理できていないので具体的なやり方は研究課題ではあります。

 

  • 自分の債務はいくらあるのか、資産はいくらあるのかを把握し理論的ではないにしても簡単な貸借対照表を作成する。その場合差額を資本とする。また収益はいくらで費用はいくらかを計算し差額を当期利益とする。
  • さらに、自分の目標を決め、目標達成のためにはどのような成功要因があるのか、その成功要因を行動にするとどのような行動があるのか、そしてその行動はどのような指標により管理していけばよいのかといったことを考える。
  • また投資を行うときには、投資(金融資産や不動産への投資はそれ自体での利回りが投資意思決定の材料として存在するので除外)から得られる効用(もしあれば金銭的なメリット)を集計し見合った投資なのかを計算し投資を行う

といった具合です。

 

さて、ここで目標達成行動のための、KGI(重要目標達成指標)→KFS(重要成功要因)→PD(成果達成尺度)→KPI(重要業績評価指標)について一つ事例を紹介します。

 

誰もが何げなく近いことを行っていると思いますが、例えば資格試験に合格する目標をもったとき、成功要因は効率的な学習、仲間づくり、通勤時間の短縮、十分な睡眠確保とします。

 

達成尺度としてはYouTubeの活用、合格者からの指導、受験者の確保、早起きによる早朝出勤、心地よい疲労のための運動時間の確保といったことがリスト化されます。

 

KPIは日々の学習時間、合格者からの指導時間、仲間の人数、睡眠時間、通勤時間、運動時間を管理することになります。KPIは先行指標(目標指標)を決め、実績指標(実績)と比較し、ギャップを埋めるために何をすればよいのかを検討し具体的に行動してKPIの改善を図っていくといったことです。

 

もちろん、これらは自分の仕事に応用すればまさに本来のKPI管理を行うことになります。会社でKPI管理をしている方は自分への応用は容易ですね。

 

こうして書き終えてみると取り立てて文章にする必要はなかった感じですが、自分でも上記がうまくできていないことが分かりました。先ずは自分の行動を会計により可視化し、やりたいことができるよう、さらに精進していきたいと考えています。

銀行の(病院に対する)動態的審査について

監査法人で銀行の会計監査を行ない、銀行員だった時にはコンサルティング部に所属し支店業務推進(支店の業績を上げるための支援)を行っていたので独立したあとに幾つもの銀行で審査部や現場支援を行う機会がありました。

マイ会計やマイ監査において、銀行の審査基準を垣間見ることには意味があるので、私が以前銀行審査部の勉強会で説明した資料を提示します。

10年以上前に金融系雑誌でも紹介していますが、銀行が病院をどのようにみていくのかといったことについての(銀行員にとっての)新しい考え方を説明しています。

なお、知識のない銀行員へのレクチャーなので若干はしょっているところがあることや、急性期病院を軸においてオペの説明をしているので、他の慢性期や回復期、地域包括や精神等の業態の病院に特有の項目を除外していることをご理解下さい。

 

銀行は病院の財務データ(静態=その時点の情報)だけではなく、定性データも含めた指標データ(動態=状況を継続的に示し予測を行える情報)の活用が必要なことを示しています。今でも古くて新しい考え方だと思っています。

一方、病院側は、銀行からこう見られる可能性があることを理解して、銀行との取引を行っていく必要があります。

もちろん病院の経営企画室は、病院の経営分析を行うときにここでいう定性情報も入手し、組織をあげて個別対応しようとしていますが、より情報の精度を上げ計画的にその改善や是正を図ることで将来収益の獲得、費用削減を行うことができます。再度見直しを行うアイテムだと考えます。

 

銀行の動態的審査基準の概要は以下です。

 

静態的な指標を提供する財務諸表だけで病院経営を判断することは危険です。業績が悪化しつつあることを、ある時点の財務データだけでは判断できないことや、逆に業績が改善しつつあることをある時点の財務データだけでは判断できないからです。

勿論、業績が悪くなれば徐々に財務データに結果が反映され、最終的には判断ができますし、また業績が良くなれば徐々に財務データが改善されることも確かです。

しかし、そこにはタイムラグがあり、また原案が特定できないため結果がでるプロセスにおいて、判断ミスを犯すことがあります。良くなる傾向にある病院に与信を与えない。また悪くなる傾向がある病院に与信を与えることがないよう対応するためにも、審査的には、財務データに表れない動態的指標によって病院の傾向をつかみ、適切な判断を行なう必要があります。  

どのような場合に業績が悪化するのか、またどのような場合に業績が改善するのかについて財務データ以外に動態的データにより判断基準をもたなければなりません。

動態的に病院をみる指標を数多く提示していますが、それらのなかには病院も入手していないもの、掌握していないものも数多く含まれています。

  1. 単純であるもの
  2. 病院もデータをもっているもの
  3. 病院側がそのデータを提示することに躊躇しなくて済むもの
  4. 比較することで病院の実態がつぶさに把握できるもの
  5. 情報収集によって病院経営の全体が把握されることはないだろうと思ってもらえるもの

 

といった条件で整理した結果、以下に示す10項目となりました。

  1. 新患数が低減する傾向にある
  2. 外来患者数が低減する傾向にある
  3. 外来単価(外来日当点)が低減する傾向にある
  4. 病床利用率が低減する(入院患者が低減する)傾向にある
  5. 手術件数が低減する傾向にある
  6. 入院単価(入院日当点)が低減する傾向にある
  7. 平均在院日数が増加する傾向にある、あるいは増減が激しい
  8. 紹介率が低く、増加していない。低減傾向にある
  9. 医師が不足している(常勤減、非常勤増)
  10. 看護師の定着率が低い

 

上記を説明します。

 

病院収益は患者数×診療報酬単価で決定します。患者が増加することと、診療報酬単価をアップすることが病院収益を増加させるポイントです。

診療報酬単価は、外来単価と病棟(入院)単価に分類できます。一人の患者から高い報酬を得るためには、技術料の高い手術を行なうことが必要です。手術がなければ単価アップには限界があります。

また、病院のベッドを有効活用するためには、たくさんの患者さんに来院いただきはやく退院してもらうということが必要であり、ベッドがどれだけ埋まっているのか、そしてどれだけ回転しているのかについて調査をする必要があります。できるだけ早く退院してもらい手術の件数を多くする、そのために検査や撮影も必然的に多くなる、点数があがるというながれをつくることがポイントです。上記がどのように行なわれているのかを動態分析でチェックする、ということになります。

  

審査方法は以下のものです。

 

与信を与える段階で、上記を埋める情報収集シートを提示し、相手方に記入してもらいます。同様の規模、同様の標榜科目、地域といったものを斟酌(ベンチマーク)して、その病院が、

  • 平均より上で推移しているのか
  • 上から下に向かって推移しているのか
  • 下から上に向かって推移しているのか
  • 下止まりしているのか
  • 下から上に向かって動いているが平均よりも下であるのか

などの調査を行います。

例えば、平均に到達する、あるいは平均を超えて改善傾向にあるのであれば、過年度の財務データに課題があったとしても、与信については前向きに検討することや、また、平均を下回らないまでも悪化傾向にある、あるいは平均を下回り悪化しているのであれば、与信については一端ストップする必要があると考えます。

なお、同時に過年度の財務諸表が入手できれば、直近の営業キャッシュフローが生まれているのかどうかを確認できれば、なおさらよいと考えます。営業キャッシュが生まれていないなかでの改善については、他の情報をも加味したうえでの対応が必要であるかもしれません。

 

上記の傾向は、遅かれ早かれ必ず財務諸表に反映します。ただし、説明したようにプロセスで早期に判断を行なうこと、あるいは財務データを担保する、あるいは補完するデータとしてここで示す考え方を理解することが必要です。もちろん学習を行い病院にアドバイスを行うことができるようになれば金融マンとしてまた担当者として、顧客の役に立つ融資ができるようになります。

 

判断は以下のように行います。

1.新患が低減する傾向にある

診療報酬が引き下げられる傾向があるため、どの病院も増患をする必要があります。増患の基本は新患が来院することです。新患数がどのように変化しているのかについて傾向をみることによって、その病院が総合的な努力を行なっているのかどうかが判ります。まずは(外来)新患数の傾向をチェックすることが必要です。

 

2.外来患者数が低減する傾向にある

新患は増加しているが、外来患者数全体が低減していることがあります。これは再診の患者が減少していることを意味しています。再診の患者が減少する理由として、

  • 逆紹介をする
  • 人気がないため再診患者として来院しない

といった二つのパターンがあります。

であれば、その反面紹介が増えているかの確認も行います。の場合には致命的です。ながく続かないまでも、最悪の病院として残るためには、再診患者をながく引き止めておくことが、病院経営において最後に行なうべきことであるからです。慢性疾患の患者を増やす診療科の確認や本来は邪道かもしれませんが一つの疾患から当該患者の全身管理を行えるよう対応することはある意味患者のためにもなります。

 

3.外来単価(外来日当点)が低減する傾向にある

外来単価が低減することは、再診患者が多く、かつ安定して検査や撮影が必要のない患者が多いということを意味しています。

したがって、外来単価が低減するきざしがあることは、その後の収益に大きくマイナスとして影響を及ぼすことになります。新患増へのブランドづくりが病院の社会資源としての使命を果たす基本です。診療科別の患者構造が変化することによって外来単価は低減する傾向となりますが新患増への取組みは不可欠です。

 

4.病床利用率が低減する(入院患者が低減する)傾向にある

病床利用率が低減する理由は、

  • 入院の必要がない患者が多い(外来入院比率が低い)
  • 紹介患者が少ない

ということに集約されます。

外来患者は、安定的な本来は診療所に逆紹介を行う患者であり、入院の必要のない患者が多くいる場合には、外来からの入院比率が低減し、全体としての入院患者も少なくなります。

紹介による入院患者も低減していることを意味しており、病床利用率が低減することは致命的な収益マイナス要因となります。

病床利用率は平均在院日数とパラレルに(並行して)見ることが必要です。

すなわち、利用率があがっているけれども平均在院日数もあがっているのでは、患者が滞留していることを意味しており、問題です。

利用率があがっているけれども、平均在院日数が短縮されていることが、患者がながれている、すなわち多くの患者がベッドを通過していることを表しています。

病院のトータルでの質の見直しによる紹介増、入院の必要な新患増が必要です。

 

5.手術件数が低減する傾向にある

病床利用率が高くても、手術件数が低減することは危険です。結局は内科的な単価が低い患者が増加し、収益悪化をもたらすからです。急性期病院の利益の源泉は手術です。手術が行なわれない病院、低減する病院は危険領域に入ってくるということができます。

なお、手術が行なわれない理由には、

  • 手術対象患者が入院しない、
  • 手術ができる医師がいない、

ことがあります。

麻酔医がいないこともあるし、例えば脳神経外科や心臓血管外科のように複数の医師がいなければ手術や術後の管理ができない、ということもあり、リアルに医師が不足していることが背景にあります。員数的には足りているけれども医師が手術にネガティブであったり、腕が悪いため、手術を敬遠するということも背景にあったりします。

 

6.入院単価(入院日当点)が低減する傾向にある

手術が行なわれても、入院単価が低くなる傾向にあるということは、高い技術料の手術が行なわれなくなったといということを示しています。

 

  • 高い点数をとれる手術の患者が入院しない
  • その手術ができない医師がいる

ということになります。

なお、本来転院している患者数をみれば、自院で手術ができない患者を把握することができますが、それを事務方で科別につかんでいる病院も少ないため(情報提供書を集計すると把握できます)、あえてここでは簡単にとれる指標をチェックすることにしています。

 

7.平均在院日数が増加する傾向にある、あるいは増減が激しい

平均在院日数が増加する傾向にある、ということは医療の質が低いことを意味しています。

  • 計画的な医療ができていない
  • 地域連携ができていない
  • 病床利用率を意図的にあげようとしている
  • 治療をながびかせる事故が多発している

といったことを示しています。

さらに、

  • 検査入院が少ない
  • 教育入院を行なっていない
  • 入院期間が短い標榜科目がない

といったことをも示しており、戦略的な対応をしていない病院であるということが伺えます。

看護基準に合わせてぎりぎりの平均在院日数である病院もなんとかやりくりしていることが伺えるため、注意が必要です。余裕をもって、いつも一定の平均在院日数を保っている病院が優良な病院であるということがいえます。

 

8.紹介率が低く、増加していない。低減傾向にある

紹介率が増加していないことは、

  • 開業医や病院から人気がない
  • 患者から人気がない(あの病院に紹介して下さいということがない)
  • 地域との関わりが薄い
  • 地域に知られていない
  • 職員が積極的に活動していない

といったことが伺えます。

そのことは、地域完結型医療を行うなかで、自院に必要な患者を抱え込むことでしか、生き残っていけない急性期病院のあり方から逸脱していることを意味しており、今後、ながく優良な経営を行なうことが困難です。

紹介率が低い段階でとまっている、それ以上増加していない、また、低減傾向にある、といった病院は、患者が集らない病院として問題があります。紹介元先別経路分析により課題をみつけ解決を行う必要があります。

 

9.医師が不足している

 医師が不足している、というなかには医師が辞めてしまい

  • 法定数の常勤医師がいない

という場合と、

  • 医師はいるが働きが悪い
  • さらには全体としては充足しているが、必要な標榜科目の医師を積極的に求めている

というケースがあります。

常勤の医師と非常勤の医師が職員となっているわけですが、非常勤の医師はコストがべらぼうに高くなることが一般的です。一日当りいくらということですし、外来の診察はするが病棟はみない、といったことが行なわれるため、実際には常勤の比率が落ちれば効率や成果は間違いなく低減します。

これらのどれであるのかを見極めることは必要ですが、医師数を常勤と非常勤に分けて情報収集することで、当該病院がどのような状況にあるのかを理解することができます。また、自院や競合の退職予定の医師情報や入職予定の医師情報を知ることは審査にも大きく影響します。

 

10.看護師の定着率が低い

一人当たり一月に72時間の夜勤の制限があり多くの看護師がいなければならない事情や、高い看護基準をとることで入院基本料を高くとろうという病院が増加しているため、また、看護師の資格をもったものが介護へ転出するなど、看護師が不足しています。

どこでも看護師が必要であり、看護師が不足することで高い点数がとれない状況になることがあります。看護師を採るためにHPでの訴求や、職員である看護師に友人や後輩を採用すれば報奨金を支払う制度を導入するなど、多くの病院が看護師を募集しているのです。

看護師が集らない、潤沢にいない病院は

ビジョン、リーダーシップ、休暇、教育等の環境のどこかに問題があるわけで、看護師が常に辞める、不足している、定着率が悪い、といった病院は要注意である、ということがいえます。

本来はさらに多くの動態的チェックポイントがあるなかで、上記の10項目のチェックはとても簡便です。ここでは、これらを記載したチェックリストを先方に渡し、枠のなかに数字を入れてもらうことによって情報を簡単に収集できるアイテムに絞っています。

例え、財務データは入手できなくとも、ここに記載されている項目と、簡単な財務数値情報を入手することによって与信判断の一助とすることが可能です。

 

10項目は最低限の項目であり、できるだけ多くの指標を入手することが必要ではありますが、まずは10項目をベースに病院の実態を浮き彫りにすることが適当です。

今回は医療を取り上げていますが、銀行の審査に当たりトップのビジョンや競合やマーケットの動きなどを含めた動態的情報を得ながら業務を行うことが大切です。どのような業種であっても財務データに直接表現されない情報をしっかり体系化し、審査を行うことが必要だと考えています。

 

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内部監査の実際を知る

人が思い通りに生きるためには、

  1. 目標達成のために計画的に行動する、
  2. その成果を会計の視点で見る、
  3. 物事を行う自分を振り返り行動を修正する

ことの理解が必要です。

 

今回は、会計監査を導入している法人での内部監査室へのレクチャーの資料を確認することによりリアルな組織における内部監査について簡単に学習します。まずは内部監査に触れ、自分の行動をチェックするマイ監査の考え方につなげることが有効です。

 

「監査手続きは、監査において十分な監査証拠を入手するための手続のことをいいます。 監査では監査対象の財務諸表が適切であることを証明することを目的としているからです。

 

会計監査を実施する公認会計士にとって、財務諸表に対する意見を形成するうえで、十分な監査証拠が必要となります。監査手続は、内部統制が確立していること(会計処理が適切に行える仕組みがあること)を前提とした上で、試査によって実施されます。

 

今回、貴法人のプロジェクトで行うことは内部監査の導入です。内部監査の最大の目的は、法人が適法・適切な運営を行うため、またその発展のため最も有効な改善策を助言、勧告し、さらにその実現を支援することです。

 

もう少し具体的にいうと、内部監査は法人の内部統制制度が正しく機能しているかどうかをチェックし、問題点を発見、問題点を修正して、内部統制の目的である、業務の有効性・効率性、コンプライアンスの担保、そして資産の保全を行いつつ財務の信頼性を確保します。

 

支援内容には、事業活動の効率を高めるとともに職員の規律保持や士気の高揚を促すことも含まれます。法人内部の抱えるリスクや問題点を早期に発見・解決し、社会的な信頼を損なうことのないよう組織を整備していくことになります。

 

会計は組織の活動を可視化する道具です。したがって、内部監査の監査手続きを学習するにあたり、まずは、会計監査の手法を学ぶことが有益です。会計のながれに沿って監査を進めると内部告発監査を行い易くなるからです。

 

貴法人における会計監査の監査手続きは次のものです。

  1. 記録や文書の閲覧
  2. 有形固定資産の実査
  3. 視察
  4. 質問
  5. 確認
  6. 分析的手続き

エビデンスとの突合による科目別監査手続きは主に以下の科目ごとに行います。

  1. 現金預金
  2. 医業未収入金
  3. 貸付金
  4. たな卸資産と医業原価
  5. 有形固定資産と減価償却
  6. 未払金・買掛金
  7. 借入金
  8. 医業収益
  9. 医業費用(販売費及び一般管理費
  10. その他

  

なお、資産については必要なものが実際に存在するか(実在性)、負債についてはすべてが計上されているか(網羅性)、そして収益については、得られるべき収益が計上されているか(実現主義)、費用は、その事実があるときに計上されているか(発生主義)をチェックすることになります。

 

なお、貴法人では我々監査法人が会計監査を実施しているので、会計監査のなかで実務を学習することや業務監査から実施しても良いと思います。

 

業務監査は経営資源毎に組織目標への合目的的な対応が行えているかについて、例えば以下をチェックします。

  1. ムダな処理をしていないか
  2. ムラのある業務分担になっていないか
  3. ムリな業務になっていないか
  4. もっとはやくできないか
  5. もっと安くできないか
  6. もっとうまくできないか
  7. 不正が抑止される仕組みがあり、牽制が行われているか
  8. 不正が起こる温床になっていないか 

どうかを考え、リスクや問題点発見し改善を行います。

 

上記をすべて一度に理解することには困難があります。日々の活動はすべて貸借対照表損益計算書に反映されることを前提として、法人の収益計上の仕組みを考え、費用がどのように生まれるのかを理解したうえで、会計の体系を知り、できれば簿記を勉強しながら、内部監査を行います。

 

なお、前述したように内部統制は、事業のすべてにわたり、法人の目標を達成するため、業務の有効性・効率性、コンプライアンス、資産の保全、財務の信頼性を確保することを目的としています。

 

繰り返しになりますが内部監査は、法人の業績が向上するよう会計監査、業務監査を通じて内部統制の整備・運用について組織支援するものです。

 

もっといえば、現場の人の困っていることを発見し、それを解決し、結果として法人が最適な状況になるよう行動します。いわば理事長直轄の法人運営のコンサルタントという位置づけです。

 

それぞれ役割は異なるものの、同じ対象(法人運営)を監査対象としていることから、最終的に内部監査は、会計監査や監事監査と協力しながら、組織目的が達成されるように活動します(三様監査)。

 

まずは業務フローチャートを完成させ、また、経理規程等を見直ししたうえで、現場がどのような状況にあるのかをチェックしていきましょう」

 

自分の行動を振り返るマイ監査


会計や財務諸表を語るうえで必要な知識に監査があります。

一般的に組織の監査には、

  1. 外部監査
  2. 監査役監査(監事、監査等委員監査も含む)
  3. 内部監査

があります。

 

外部監査には監督官庁による監査等が含まれますが、私が経験してきた監査は、監査法人としての会計監査、また監査役や監査等委員としての監査、そして内部監査室立ち上げによる業務監査です。

 

監査法人で会計士により行われる会計監査は、平易にいえば、組織が作成した財務諸表が正しいかを確認するための監査です。ここでの組織には会社や学校法人、社会福祉法人、医療法人等があります。会計監査は会社法金融商品取引法や他の法律によってどのような組織が会計監査を受けなければならないのか規定されています。

 

監査役や監事により行われるいわゆる監査役監査は、取締役や理事等の業務執行を監査するもので法令や定款等を遵守しているか(適法性)、業務が適正におこなわれているか(適正性)をチェックするものです。

 

また、監査等委員による監査は監査等委員会設置会社で行われるもので、監査役会に代わって過半数社外取締役を含む取締役3名以上で構成される監査等委員会が、取締役の職務執行の組織的監査を担うものです。

 

内部監査は組織の業務及び財産の実態を監査し、経営の合理化及び能率の増進の資することを目的とした組織内部における監査をいいます。

 

内部監査は、業務監査と会計監査に区分されます。業務監査では、会社の業務活動が法令・定款及び規程類に準拠し、かつ経営目的達成のため合理的、効果的に運営されているか否かを監査します。

 

会計監査は、内部のスタッフとして会社の会計記録が経理規程等に準拠して正確に処理され、かつ各種資産の管理・保全が適切に行われているか否かを監査することをいいます。

 

結構ザクっとですが大枠はこのようなものを監査といいます。面白くない話かもしれませんが、世の中でいう監査というものは上記3つであり、これだけ理解すれば終わりなので全体を掴んでいただければと思います。

 

これら3つの監査は、それぞれ、もしくは連携して行なわれることにより(三様監査という)、

  1. コンプラも含む組織やトップの活動そのものの巧拙
  2. 組織の合理性
  3. 財務諸表の信頼性

をチェックするもので、組織がその使命を果たすために必要不可欠でとても重要な制度や仕組みです。

 

マイ会計においても、

  1. 自分の思いや計画の実効性の確認
  2. 行動の合理性
  3. 財務的な課題の検証

のために、監査の考え方を理解すること、いわばマイ監査が有益です。とりわけ内部監査の内容が大事であることに気付きます。

 

自分が生きていくうえで会計の発想を敷衍化し計画的で間違いのない効果的な生き方を行うために、どのような視点が必要かを考えるときの知識になるからです。以下の視点が重要です。

 

  1. 業務の有効性・効率性
  2. コンプライアンス
  3. 資産の保全
  4. 財務の信頼性

これらは内部統制の目的です。

 

大まかに言えば内部統制とは、内部牽制と内部監査からなる組織運営の基礎となるもので業務に仕組として組み込まれ、組織内の全ての者によって遂行されるプロセスをいいます。

 

内部統制が機能するためには、したがって内部監査が必要となります。

 

常に業務の有効性・効率性を図りコンプライアンスにより行動できているか(業務監査領域)。また、資産の保全を行い財務の信頼性を確保しているか(会計監査領域)、ということをチェックするのです。

 

私は内部監査のうち、業務監査を重視し、そこでの業務の有効性・効率性やコンプラを担保する活動に注目しています。

 

このことは前述したように組織運営やとりわけ自分の行動様式に関わるマイ監査にとり、とても重要なので、どこかで詳しく説明したいと思います。

 

部門別損益計算は、有益な情報を提供する管理会計の一つ

 

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今回は、病院を事例にとり、部門別損益計算について説明します。

 

 多くの病院では、病院全体の月次損益を情報として意思決定を行っています。

 

 それでは問題点がよく理解できません。どの部署の損益がどのようになっているのかを把握して初めて部署別の課題が明らかになるからです。

 

 部門別損益計算は、こうした要請に応えることができる、各部署別の損益を計算し可視化する手法です。

 

 部門別損益計算は3の部門領域において管理されます。外来、病棟からなる直接(診療)部門、コメディカルからなる補助部門、そして事務部門を軸とした間接部門がそれらです。

 

 ここで、直接部門はプロフィットセンター(収益部署)、また、補助部門は一部は収益を稼ぎ、一部は稼がない(急性期の病院でDPC制度を利用する病院では入院時の検査等で収益があがらない行為があります)プロフィットセンターです。

 

 また、間接部門はコストセンター(費用部門)として原則、直接収益を稼ぎません。

 

 さて、各部門には部署があります。診療部門であれば、例えば○○外来、○階病棟などがそれです。

 

 補助部門であれば、薬剤、検査、放射線、栄養、リハ等が該当します。また事務部門であれば、医事、総務、経営企画、購買、営繕等がそれらです。

 

 計算の過程は3つの段階に区分できます。第一次集計、第二次集計、第三次集計です。

 

 第一次集計では、各部署それぞれの損益を個別に計算します。

 

 第二次集計では間接部門の費用を診療部門と補助部門に配賦します。

 

 さらに第三次集計では間接部門のコストを配賦した補助部門の損益をさらに診療部門に属する各部署に配賦します。

 

 間接部門で発生したコストを補助部門と診療部門に負担してもらい、補助部門の収益とコストを直接部門である診療部門にというように徐々に配賦計算を行い、最終的に診療部門の各部署の損益を計算します。

 

 このことで、すべての診療活動による収益と、病院全体の費用が比較され、部門(部署毎=外来は診療科別、入院は病棟別、診療科別)に損益が把握されることになります。

 

 階段のように配賦計算が進むことから階梯式配賦法といわれています。

 

 結果としてすべての損益が集約された診療部門の各部署においては、当該月の延患者数データから一人当たり医業収益や医業費用が計算され、診療部門の成果が明らかになります。

 

 なお、第一次集計においては、各部門単独の損益が計算され、第二次集計においては間接費の費用を負担した診療部門と補助部門の損益が計算されて、それぞれの成果をみることができます。

 

 例えば一次集計で直接部門や補助部門が赤字であれば、組織は維持できないし、間接部門の費用は予算通りであるかをみます。

 

 また二次集計では、補助部門や直接部門は間接部門のコストを背負っていまだ利益がでているのかをみて、収益増やコスト削減の気付きとします。

 

 いずれにしても、予算と比較することや昨年度と比較することにより、各部署の収益の増減や、費用の増減が詳細に把握できます。

 

 また、他の経営指標と合わせてチェックすることで、各部署毎の患者数や単価、費用のかけ方に関する課題を把握できるようになります。

 

 部門別損益計算はあらゆる病院で有効に活用することができます。これからの病院経営に必要不可欠な道具であると考えます。

 

  なお、一般企業においても各部署の損益を毎月計算し、詳細なコスト管理を行うことで、組織全体の最適化を図ることができます。

 

 部門別損益は、有用な情報を企業に提供する重要な管理会計であると考えています。

 

 部門別の下位には、商品、サービス毎の損益計算もありますが、部門別損益計算の考え方が利用される必要があります。

 

 マイ会計でみると、自分の行動別の管理ができます。

 会社に勤めている人であれば、自分の仕事の種類ごとに、自分がどれだけの時間やコストをかけているのか、また、人に支援を受けているのか支援しているのかを考え、整理してみます。

 

 そのことにより、時間の配分や、力の入れようがみえてきて、もう少しこの領域での仕事で時間をうまく管理しようとか、人脈をつくっていこうと振り返ることができます。

 

 また、同様にリアルに組織のなかで部門別損益を行うように、会社の時間やプライベートの時間、学習の時間を軸として得られた価値を計算する枠組みとして活用できます。

 

 社員の方も経営者も起業家も、自分の資源を部門別(カテゴリーや何等かの区分)で計算、管理することにより、資源の有効活用を行うことができるようになります。

 

 配賦計算というテーマを自分なりに工夫したうえで、より精度の高い管理ができるようになります。

 

 コツを覚え、マイ会計における自分なりの部門別損益計算、実行してみてください。行動が合理的になること請け合いです。

ミニトマトとバナナにみるマイ会計

 

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先日、たまたま訪れたスーパーの紀ノ国屋で1パック380円のミニトマトか、298円のミニトマトかで妻が迷っていました。いつもは西友で200円台のミニトマトを購入しているからです。

 

 糖度が10という驚異的な甘さ(の表示。客は誰も確認できない。店を信じるのみ。違いをアピールするのは大切ですね)であったことも手伝い、380円のミニトマトにすることに決まりました。で、彼女は一つひとつのパックをみて何かをチェックしていました。

 

 パックのなかのトマトの数です。大半が9個なのに中には、10個のものがあるようでした。彼女は単純に10個の方が数が多く得でしょう、という判断で買おうと決めたようでした。

 

私は、

1.グラムで個数が決まるのであり、たぶんパックごとの重量は同じ

 

であれば、どっちでも同じなのになと思いましたが、まてよ、

 

2.9個と10個では、10個が多いように見えけれど、バックを同じ重さにしているのであれば、皮の面積とヘタの数は10個のほうが多く、食べる量は少ない

 

3.ただし、パックの重要には幅があり、10個のものは明らかに幅の上限に近い重量、すなわち果の部分も多い可能性もある

 

4.本当は9個で決まっており、間違えて10個にしたかもしれない

 

5.  10個にしてあるのは、少し押してしまったり、傷があるB品を1個入れた、というリスクもあるが、その可能性は小さい

 

等と検討した結果、彼女に10個でいいんじゃないと同意し、10個に決定しました。

 

 あれこれ、少なくとも3分はトマトの前にいました。

 

 レジに行くと、そうそうバナナもない、ということに気付き(私の朝食は、ニンジンのピューレ、ミニトマト、バナナと季節の果物、そして卵とチーズと決まっています)、バナナの箱の前に立ちました。ふさふさの品の良いバナナが箱にたくさん入っていて、美味しそうです。

 

 彼女はバナナの山を眺めたあと、美味しくなさそうだから、いらないよね?といいました。えー!そんな、私には美味しそうにみえるよ!

 

 少し不思議だったので、いつもはいくらのを買っているのと聞くと、100円!と元気よく答えました。西友で5本入り100円、日によっては100円を切ることもあるとのことでした。

 

 ちなみに紀ノ国屋は5本で270円。

 

 なるほど、彼女の美味しくないというのは、高いということと同義なのでした。そうして考えると彼女の判断も合点がいきます。

 

 私は、朝どうしてもバナナが食べたかったので、おねだりして、買ってもらいました(汗)

 

 で、無事に買い物を済ませたあと、彼女は喉が渇いたといい。ジューススタンドでマンゴーシークワーサーのジュースSを340円でおいしそうに飲んでいました。

 

 私の朝食との価値観の差が見事に見て取れて、合理性は、購入者の価値観に左右されることを学びました。

 

 また、家庭にはヒエラルキーがあることを再認識しました。

 

 結局、モノの金額と価値のバランスや、食事を行う状況により食事の価格を決めているので、原則的に、経済合理性をもって意思決定をしなければならない企業と、マイ会計は異なることが分かります。

 

 と、考えた後、実は妻の行動は企業そのものではないかと気づきました。

 

 皆さんもそうしているように、私もクライアントには、何かを購入するときには経済合理性を、相見積もりを、といいます。

 

 PL(損益計算書インパクトはどのくらいあるのかも聞きます。つまり、損益にどれくらい影響するのかを考えて、企業は合理性をもって行動しなければならないという基本です。

 

 ところが、これらに全く関係なく、それも企業規模の大小に関わらず、諸般の事情から物事を特命で決めることはよくあります。

 理由は詳細に説明できないし、いわんやPL(損益計算書インパクトなんて分からん、ということです。

 

 トップの価値観や、メリハリ、目に見えない付き合いの機微や当該企業との関係強化の目的で、そうすることがあるのです。なので、妻の行動は企業活動の集約されたもの。

 

 人がマネジメントするからには、個人(妻)も企業も何処かで同じ意識での行動をすると、妙に納得したのでした。

 

 企業も人が運営しているのですから、当然といえば当然ですね。

 

 なお、紀ノ国屋の戦略と西友の戦略を決算内容から、検証しようと思いましたが、紀ノ国屋はJR東日本の子会社で、西友ウォルマートの子会社なので、今この記事を書いている時点で、スグにはネットから情報を取れず、検証は難しいことが分かりました。

 

 価格は高いけれど、比較的美味しい商品を売る紀ノ国屋と、安くて大量に売る西友のどちらに商機があるのかは興味ありますよね。

 

 でも西友は薄利多売で赤字になり、ウォルマートの傘下に入り、紀ノ国屋も小規模であるもののエキナカでの効果をみてJR東日本の子会社になったので、どちらにもそれぞれ課題はあるのでしょうね。

 

 機会があれば、上記食品スーパーの経営状況の分析していきますね。

 

 ところで、翌朝のこと。妻がいつもは食べないバナナをしっかり食べていました。

 やっぱり高いバナナは甘くて美味しいね。と話したので、私も一切れ(私の前には3切れのバナナとナシをはじめとした朝食セットが置かれていました)食べてみました。

 

 やばーい!いつも食べていたのとは香りや甘さがちがーう!バナナってこんなに美味しいものなのか、と感動したのでした。

 

 高いものは(良いものは?)やはり美味しい(トマト甘くはありましたが、あまりーという感じでしたが)可能性が高い、という出来事でした。

大まかな財務会計と繊細な管理会計が経営を支える

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 財務会計は報告のための会計であり、管理会計は文字通り管理(マネジメント)のための会計です。

 

財務会計は、貸借対照表損益計算書、そしてキャッシュフロー計算書の財務三表が基礎になっていますが、管理会計は縦横無尽にこれらを支える道具として活用されます。

 

ここにすなわち、財務会計は、

1.資金の調達と運用を表し、資産=負債+資本で表現される期末日現在の財政状態を示す貸借対照表や、

 

2.費用+利益=収益で表現される一年間の経営成績を示す損益計算書

 

3.期首現預金残高±(営業により得られた)営業キャッシュフロー±(投資を行ったり回収することを表す)投資キャッシュフロー±(財務的な資金の動きを示す)財務キャッシュフロー=期末現預金残高という構造になっているキャッシュフロー計算書の作成のために行われます。

 

 結果、一年間の損益がどのようになり、お金がどう動き、期末に翌年に事業活動の基礎となる資産、負債、資本がどのように変化したのかを情報を明らかにすることができます。

 

企業経営の全体像をどのように掴むか、ということでは、株主や債権者などの利害関係者にとって十分な情報提供を行なうものです。

 

しかし、経営者や、管理に関与する中間管理職、さらに業績を求められる社員にとってみれば、それだけでは十分ではありません。企業のなかにいる人々には、財務会計から得られる情報は一部であり、それだけでは足りません。

 

1.損益分岐点分析や、

2.月次決算、

3.予算実績管理といった管理会計が必要だし、

4.時々は財務分析や投資経済計算を、そして日常においては、

5.売上高はどのようにつくられたのか(どうつくるのか)、.原価は、販管費はどうか、といった損益計算書の各勘定について、事業環境や競合状況を背景に持った上での、指標管理が行われなければ日々の行動が適切に行えません。

 

(実は、金融機関などの債権者や投資機関も、財務諸表だけでは足りず、財務分析を行ったり、一部の詳細な指標情報を企業から得て、分析作業を行うので、一定の管理会計がなければ活動を担保できません)。

 

財務会計を説明する管理会計が必要な理由です。

 

財務会計は体系的、継続的に行われる制度としての会計ですが、管理会計は上記で説明したように、ほぼどのようなものが日常使われるものは、ほぼ決まっているものの、分析の対象や方法は企業ごとに異なり、制度としてこれを使え、というものはありません。

 

建設業は建設業の、製造業は製造業の、卸、小売りやサービス、IT等々どのような業種でも業種なりの、またそのなかでも企業なりの管理会計が定期的、もしくは随時使われ、経営や実務を行うために利用されているのです。

 

 整理すると、財務会計は報告のための会計なので、分かりやすさや比較可能性を担保するために、ルールが厳格に決められていますが、財務諸表を利用する者にとっては必要十分な条件をもちつつ、経営に関する情報はもっていません。

 

 その意味では大まかです。

 

 それに対して管理会計は、経営に関する会計として、業種や会社ごとに活用の対象や方法がさまざまであり、財務会計を行う詳細な基礎情報や、財務会計を円滑に行える情報を管理し、意思決定や組織運営に使われていることが分かります。

 

 財務会計が企業の業績をダイレクトに示す会計であるとすれば、管理会計財務会計をつくるためや、分析するための会計であり、横糸と縦糸のように織りなし、企業経営を定量的に支えているのです。

 

 なお、事例を説明しながら管理会計の一手法である指標管理が、いかに財務会計とつながっているかを解説します。

 

 損益計算書の売上高は、数量×単価で計算されます。Aさんが100を20円で××社に売りました。売掛金2000/売上高2000と仕訳され、損益計算書に売上高2000円が、貸借対照表には売掛金が2000円計上されます。 

 

 ですが、詳細な数量や単価情報は、損益計算書には記載されません。貸借対照表でも顧客先別、時期や頻度も不明です。

 

 もちろん、仕訳→仕訳帳→得意先元帳→総勘定元帳→財務諸表の流れで行われる財務会計の中で記載されるデータはありますが、加工しなければまとまった活用できる情報にはなりません。

 

 損益計算書から得られない単価情報や購買情報についても商品別、顧客別に把握し、分析したうえで仕入ポートフォリオや営業活動に活かさなければなりません。

 

 指標化して管理会計の対象としながら成果を挙げる情報としていくことになります。

 

 営業についても訪問件数や回数、面談時間、有効面談時間等の指標管理を行い、効果的な営業を行えるよう現場が動きます。

 

 このように現場では、管理会計財務会計成立のの基礎とするとともに、管理会計の活動結果(=情報収集→分析→仮説→検証行動)をもって財務会計(成果)を一定の方向に誘導する、という活動が行われているのです。

 

 マイ会計では、自分の損益計算書貸借対照表を作成して、年間給与の総額の分析をします。

 

 例えば、社員であれば、どうして時間外が多かったのか、賞与が少なかったかの原因を、自分の行動や生活の観点から分析し、仕事の効率が挙がらなかったのは、勉強の時間が少なかったとか、コミュニケーションがうまくとれていなかったことや、プライベートを大事にしすぎたとかの情報を整理したとします。時間や回数、件数、パーセント等を指標にすると分かりやすいですね。

 

 これらについてこうありたいという計画を立てます。

 

 時間外××時間以内、勉強時間毎日2時間、読書1時間、コミュニケーションを毎日必ず10人と取るなどの指標を設定、日々実践しながら自分をあるべきかたちに修正していきます。

 

 実務の中でも管理指標(KPI=重要成功指標)を設定し、クリアーし、成果を挙げ、次の給与や賞与を増やそう、といった具合に考えます。KPIは、KGI→KFS→PD→KPIと設定します。何処かで詳しく説明しますね。

 

 組織でも、個人でも会計の知識を身につけ、財務会計管理会計をうまく使いこなして成果を挙げていく。これからの時代、とても大切なことだと私は思います。